【トピックス】クラブユース1日目はドロー。昨年王者を大金星目前まで追い詰める。
群馬県内で行われている第43回日本クラブユースサッカー選手権(Uー18)大会。東北第二代表として出場しているモンテディオ山形ユースは、21日のグループF1日目で昨年王者の清水エスパルスユースと対戦。終盤に猛攻を仕掛け、大金星目前まで追い詰める大熱戦を演じて引き分けた。
35分ハーフの短期決戦。立ち上がりから先手を取って仕掛けたのは清水ユースで、2分にいきなり決定機を作られると、7分に中途半端なプレッシャーでくいついたところをダイレクトプレーで外され、サイドからのクロスを押し込まれて先制ゴールを許す。
しかし、試合開始直後の失点ということもあり、「これがエスパルスの力だなと思ったけど、誰も下を向かずに声をかけてやれた」(半田陸)と一人ひとりが顔を上げたモンテディオユースは、先制してからやや中盤にスペースができた清水の守備に対して、セカンドボールを拾いながら攻め続ける。
すると17分、トップの庄司がボールを収めると、ボランチ佐藤からのスルーパスに庄司が反応して、右サイドを突破。折り返しのパスに「夢ノ介からボールが来ると思ったので、あとは決めるだけでした」という田中がフリーで押し込んで同点に追いついた。
同点ゴールで勢いづいたのはモンテディオユース。ボールを握って攻めるのは清水ユースだが、左右に振られながらも全体がスライドして対応するモンテディオユースの守備に、清水ユースは攻撃が噛み合わず、パスミスが少しずつ増えていった。
後半になっても同じ構図が続いたが、攻守でプレー精度が上がったモンテディオユースがチャンスを作っていく。後半1分にいきなりカウンターから田中慶延が決定機を迎えると、その後もカウンターから攻め続ける。前半よりもカウンターにつながる縦パスが入っており、清水陣内へ攻め込む回数も増えていた。
終盤は逆転ゴールを狙うモンテディオユースが猛攻を仕掛ける展開になる。30分に狩野海晟、33分に庄司夢ノ介、そしてラストプレーでコーナーキックから生井蓮丸のヘディングシュートとビッグチャンスが続いたが、あと一歩のところで清水ゴールを割り切れず。前年度王者を瀬戸際まで追い詰めながらも大金星を逃すという悔しさも残ったが、貴重な勝点1を得る引き分けとなった。
多少なりとも地力の差はあったが、追いつかれたダメージと勝たなければいけないプレッシャーから持ち味のパスワークが消えていた清水ユースと、追いついた勢いのまま、全員で戦うスタイルを貫けたモンテディオユースという勢いの差がそれを上回った試合。
「相手も高校生なので、勝たなければいけないチームとチャレンジしていくチームの違いはあった」と話すのは今井監督で、早い時間帯の同点弾が、試合の流れを大きく左右させたと言える。
しかし何よりも、早い失点でも下を向かずに戦って同点ゴールを呼び込んだモンテディオユースのリバウンドメンタリティが素晴らしい試合だった。
目標は「あの時の経験をこのメンバーでしたい」(半田陸)という2017年に辿り着いたベスト4超え。当時と同様にチャレンジャーとして戦うスタンスは変わらないが、この勝点1がグループステージの残り2試合でもチャレンジしていく自信に繋がるはずだ。
殊勲の同点ゴールを決めた田中嵐。守勢の中、サイドハーフでの守備も怠らなかった。昨年は怪我で大会不参加だったため、今年が大会初参加。プレミア勢を相手に「カテゴリが上なのでそのぶん気合が入ります」と気合十分で臨んでいた。
キャプテンの半田陸。普段はトップ帯同が多かったがこの大会には参加している。この試合ではボランチでプレーしていた。
GKの伊藤琉偉。開始2分のピンチをビッグセーブで防いだことも、試合が崩れなかった要因の一つ。失点以降のプレーも落ち着いていた。
センターフォワードの庄司夢ノ介。攻撃の起点になるだけでなく守備も献身的。後半は庄司がボールを奪う場面もあり、カウンターの起点が高くなっていた。
文・写真 嶋守生