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【嶋コラム】クラブの名前を変えるということ

10月11日、町田ゼルビアオーナーの藤田晋氏がサポーターミーティング上で「FC町田ゼルビア」の名前を「FC町田トウキョウ」に改名することを表明した。当然、サポーターから猛反発を受けて、紆余曲折の末に改名は一時保留。2020年シーズンは現行の名称のままで継続されるという。

メリットやデメリットなど、名前を変えることによる影響やその是非については別の機会に譲りたい。ただ、サポーターが激怒するという感情については、もっともであり十分に理解できるので、今回はそこに触れていきたい。

かつてはモンテディオ山形でも改名するかどうかという出来事があった。2008年末に提案された「フルモデルチェンジ構想」での改名だ。フルモデルチェンジという名の通り、本来あった最大の目的はモンテディオ山形のリブランディング(既存のブランドを再構築させること)であり、クラブ自身を県の広告塔に使うというブランド戦略だった。
こだわりはあったようだが、正直に言えば、名前が「月山山形」である必要性はそこまで感じられず、チームカラーが白黒ベースの市松模様でなくとも通る話。そこに改善の余地はある構想だったはずだ。

しかし、新聞のリークによってチーム名が「月山山形」に改称されるということばかりが取り沙汰されたこともあり、リブランディングの話から改名騒ぎに争点がずれて、そのまま構想自体が頓挫したという記憶がある。
その経緯や詳細については余談となるが、どうあれ当時のモンテディオ山形サポーターも激怒した。その理由は、町田の件と同様に理解できる。そして、外部の人間がクラブに関わった時に、安易に名前を変えようとする理由も。

さらに時代を遡りたい。1996年、当時JFL所属だったモンテディオ山形は、Jリーグへの昇格を目指してその前身であるNEC山形からチーム名を変更しようとしていた。チーム名が企業名のままではJリーグに参入できないからだ。
当時の事情を私は知らないが、県民からの公募によって「モンテディオ山形」、「オラクロス山形」、「ヴァーテクス山形」、「アルテリア山形」、「山形セレノール」の中から、最終的にモンテディオ山形が選ばれたのだという。

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