山梨フットボール

「あの場にいて、経験して、(起こった)出来事を悔しいと思えるか、恥ずかしいと思えるか、毎日ボールを蹴っているのにそこにボールを届かせられないことがどれだけ痛いことか感じるのは残念ながら僕ではなく、彼ら自身」吉田達磨監督【無料記事 J1リーグ第17節 吉田達磨監督 記者会見】

【J1リーグ第17節 吉田達磨監督 記者会見】

前期というか1ステージ制になって17試合目ということで区切りの試合をホームで迎えることができて応援に応えるために、勝つためにゴールを目指して戦いましたが、ゴールは遠く、点を取れずに終わってしまった。そういうところについて悔しく思っています。意欲はあったものの質というところ、後半に向けて修正していかないといけないと思っています。

鳥栖の戦い方、今日(前線の)3人で僕らの5バックをヘッドロックしてくるような形で誰かを引っ張り出してそこの穴を突いてこようという狙いを、「そうなんだなぁ」という形で――何回か走られましたけど――後は無難に対応してくれた。そういったところはこれまでの16試合の勝点は少なかったけれど、これまでの16試合、4か月で得てきたもの、この一週間で獲得してきたものを選手はピッチで出してくれた。ホームだから勝つとか、点を取らないと勝てないということはよくわかっていて、理解していて、その気持ちを持って選手は最後まで頑張ってくれた。そこに関して今日彼らが誰かに責められるポイントはない。

「ここでこんなパスが出せれば」、「こういうクロスが上げられれば」ということはあるので、ずっと言っていますけれど、それはすぐに獲得できるものではなくて、あの場にいて、経験して、(起こった)出来事を悔しいと思えるか、恥ずかしいと思えるか、毎日ボールを蹴っているのにそこにボールを届かせられないことがどれだけ痛いことか感じるのは残念ながら僕ではなく、彼ら自身。彼らはいいファイトを、戦いを見せてくれました。よく走りました、よく声を出しました、チームの持っているものを全て出そうとトライしてくれた。ここから質を上げたいと願い、望むならもう一つ上のレベルに到達するための考え方、トレーニングの姿勢、試合に臨む姿勢を持たないといけない。

この試合に臨むに当たって、我々はいつも4~5回トレーニングをやるが、紅白戦形式で鳥栖戦の先発になるであろうメンバーのチームと、控えになるであろうチームのメンバーで(紅白戦形式の戦術確認の)トレーニングをやるが、(仮想鳥栖の)相手役のチームに入った選手の役割を果たす姿勢は素晴らしくて、「彼らのために勝とう」という訳の分からない話ではなく、彼らは明確に自分が次のスタメンじゃない中で、仮想の対戦相手としての役割を果たし、今日の午前中もトレーニングをして試合を悔しい気持ちで見つめているわけです。今日試合に出たメンバーは責任を果たす役割があって、役割を果たすということ、自分が登場するところでフルファイトしに行くということでは彼らは自分の役割を果たそうと努力したと思います。

努力を続けていくしかなくて、努力しても報われないことはあるし、役割を果たしても結果がついてこないこともありますけど、努力しないことには何も始まらない。僕らはそういうチーム。いいボールが入ってこなければ、もう1回呼び込まないといけないし、望んだ動き、望んだところに味方がいなければ要求しなければいけない。一つでも多くのトライをすること。来週から後期が始まりますけど、そういう姿勢を忘れずに要求を出せるように頑張っていきます。前期はサポーター、ファンの皆様、山梨県の皆様に多くの明るいニュースを届けることができませんでしたが、後期は結果やゴールを一つでも多く届けられるように頑張っていきたいと思っています。

――3人目の交代で河本明人を入れた狙いは?

吉田豊がクロスを上げる回数が増えていたし、小椋(祥平)が入ってフレッシュになって少し前でボールを奪えるようになってラインが下がらずに済んだ。ポジティブな面がたくさん出たが、河本が入ることで橋爪(勇樹)のサイド――途中から入って鳥栖が人数をかけてきたこともあって――を助けてほしかったということと、橋爪はよくやってくれていたけれど、フレッシュに掻きまわすことと上がった後、ドゥドゥや河本がそこにいる設定を作りたかった。河本は決定力があるので、こぼれ球や少しだけどコンビネーション的なモノも見えるようになっていたのでゴール前に潜り込んで決着をつけるシーンがあればよかった。ドゥドゥのパスが足元でなくて、スルーパスになっていれば彼の決定力が見えたのかなぁと思います。調子がいいので、勝つため、チームを生き返らせるための選択です。

――シーズンの半分が終わりましたが、進化と進化できなかった部分についてどう感じていますか?

できなかったといえば、ゴール、ネットを揺らす回数、迫力、質、全て足りなかった。それに尽きる。セットプレーからの失点は多いし、得点は少ないのでしっかりと見直していかないといけない。ポジティブな面、進化しているかどうかは毎日彼らと接していますから、ボールを蹴る音、走る音、出す声、トレーニングの強度、走れる回数、組織としてプレーする意思、最後まで崩れない戦術的な頭脳、彼らは全て上がっていると思うし、見違えるような姿で毎日彼らと接しています。でも「結果が出なければ…」という世界ですけど、それをやり続けていかないと結果は出ないわけで、たまたまの結果でも欲しいですけど、そのたまたまを得るためにも努力をしないといけない。努力を嫌がらずにやるだけのマインドというか、チームの空気は確実に成長していると思います。
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