山梨フットボール

14番目の月の下、14番目のチームは満ちるために苦しんだ【2017明治安田生命J1第18節 磐田vs甲府 レビュー】

14番目の月の下、14番目のチームは満ちるために苦しんだ【2017明治安田生命J1第18節 磐田vs甲府 レビュー】

◇2017年7月8日(土曜日) 磐田1-0甲府(19:03KICK OFF/ヤマハスタジアム/14,159人/晴/気温27.1゜C、湿度67%)

得点者:14´川又堅碁(磐田)

◇◇◇

14番目の月の下、14番目のチームは満ちるために苦しんだ

ックスタンドの少し上で薄黄色く輝いていた月を満月だと思って時々見ていた。ピッチでは甲府の選手が戦っている。吉田達磨監督が素足に革靴を履いていることも記者席とベンチが近いからよく見えた。ヤマハスタジアムはピッチとベンチが近いからテクニカルエリアはないのも同然で、ベンチから数歩前に出ればタッチライン際。吉田監督は、両手を広げたり、ハンドルを回すように右拳を上げながら左拳を下げて守備陣形のスライドを指示したりしていて、ベンチに座ることなくずっと指示を出している。歓声の中では声でもジェスチャーでもほとんど伝わらないことは分かっていても声を出し続ける。それが情熱と執念。まだ半年に満たない付き合いだけど、一時的でもそれが冷める気配すら感じたことはない。佐久間悟前監督(現・副社長兼GM)ほど開けっ広げではなく、メディアと一線は引くもののオープンに話をしてくれて、志半ばで去ることになった柏、新潟を経て、今、山梨で、甲府で指揮を執れることに喜びや遣り甲斐を感じて取り組んでいることは強く感じる。ヴァンフォーレ甲府のサッカーを進化させようと情熱と信念を持って戦っていることは言葉と取り組みで痛いほど感じる。

9節で神戸に1-0で勝った時と同じで、高揚感も落胆も感じさせない表情で記者会見室に入って話始めた吉田監督。あれから4分5敗で9試合勝利がないだけに、心の中は波立っているだろう。磐田戦の会見の言葉には目新しいものはなかった。目新しさがないから行き詰っているわけではなく、やれることをやって待つしかないのだ。磐田戦でも待ったけれどゴールも勝利も来なかった。いつまで待てばいいのかを聞くのは野暮で、答えなんてない。「近付いている」としか言えないし、事実シュート数でも決定機の数でも裏付ける数字は残している。でも、磐田戦をスタジアムで見た印象は柏戦や鳥栖戦――戦いのベースとなる試合――よりも不満が残った。個々の熱量が足りないのではなく、それがミスで噛み合わないことがもどかしかった。

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