山梨フットボール

「もうひとつの内容でも勝てるところに強さを見せたが、決め切れる甲府を見せつけることはできず」【2018明治安田生命J2リーグ第41節 山口0-1甲府 レビュー】

2018年11月11日山口0-1甲府(13:03K.O/維新みらいふスタジアム/入場者数8,145人/天候 晴 弱風/気温 20.8℃/湿度 30%)

得点者 65′ #29ジュニオール・バホス(甲府)

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「もうひとつの内容でも勝てるところに強さを見せたが、決め切れる甲府を見せつけることはできず」

んか変な感じだなぁとずっと思っていたけど、ふと気が付いた。ここ10年近くはJ1残留かJ1昇格というリーグ戦の目標がほぼ最終節まで残っていて、それを失ったことがなかった。J1昇格を決めたり、J1残留を達成したりしてからのリーグ戦はあったけれど、それは満足の続きの試合で、今季のようにJ1昇格の可能性が消えて戦う経験が久しぶりで――贅沢な悩みでもあるが――イマイチ心の置き所というか、座り心地に慣れていなかった…と、気が付いた。J1昇格プレーオフという制度を採用した理由の“終盤戦まで緊張感の高い試合をやる”、“消化試合を減らす”という意図がよく分かる。今季はプレーオフ圏内入りの競争があったからこそ高いテンション、高いモチベーションの維持ができたが、それがなければしんどかった。でも、山口に勝ったことで自信や誇りが失望を包み込んで溶かし始めたような気がしてきた。

野展裕監督にとっても小塚和季にとっても勝つだけというシンプルな試合であった山口戦(1-0○)だが、アウェーの場で感じたのは2人が山口のファン・サポーターに愛されていたということ。それに、スタジアム周辺の雰囲気も良く、J2に昇格後の岡山のようにJリーグの青春があった――甲府は昇格、残留、降格を何度か繰り返して青春からもう少し複雑な時代に差し掛かっている――。2人とも試合前のコメント、試合後のコメントは難しかったと思う。甲府の監督・選手なので今いるクラブが一番大事。でも、大事な時間を過ごした過去のクラブへの感謝の気持ちを捨てたわけではないし表さないといけない。両天秤ではないけれど、甲府のファン・サポーターへのメッセージと山口のファン・サポーターへのメッセージはそれぞれ温度を変えないといけない。でも、それが都合よく一方だけに伝わるわけはなく、ファン・サポーターの心に引っ掛かってしまう。だから小塚は甲府発のコメントで元山口という視点で見られることを嫌がったのだと思う。甲府から移籍した選手が、甲府にシンパシーのあるコメントを発信すれば嬉しいし、スルーされれば寂しいからそのあたりは察して質問するべきだったと反省した。

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