山梨フットボール

「ドライな悔しさとウェットな悔しさに分かれた引き分け敗退のプレーオフ1回戦」【2019J1参入プレーオフ 1回戦 徳島対甲府 レビュー】

同点ゴールを決めたピーター・ウタカ。彼に対する評価・感情は彼を知る前と知るにつれて変っていったが、プレーオフでも1点を決めるところに凄さがあった。彼ともお別れの可能性が高く、大分あたりが動いているという噂も…。

リーグ戦41試合出場という大黒柱だった小椋祥平。別れはつらいけれど、今は彼の移籍先が決まることを願うだけ。プレーオフは個人的に一番好きな髪型で戦ってくれた。


2019年12月1日 徳島1-1甲府(13:05K.O/鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム/入場者数8,418 人/天候 晴 中風/気温 17.5℃/湿度 50%)

得点者 37’ヨルディ・バイス(徳島) 39’ピーター・ウタカ(甲府)

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「移籍も引退もないファン・サポーターはどう消化して来季に向かえばいいのか…モヤモヤは残る」

手も伊藤彰監督も泣いた。不利な条件の中で戦った選手の背中を押し続けたファン・サポーターも泣いた。応援バスの出迎えもして燃えていたヴァンくんも泣いた。悔しさや申し訳ない気持ちが入り混じった感情がピッチの中にあれば、スタンドには1年間頑張ってきた選手が文句のつけようがないほど走り、戦ったのに勝てなかったことを悔しく思い、試合後はこのメンバーで戦うことが最後かと思うと悲しくなってきた徳島戦。ただ、涙を流した選手・スタッフ、ファン・サポーター、ヴァンくんの姿を目の当たりにして自分なりに徳島戦の葬式をしようとしたけれど送り出せず、未だに消化はできていないしモヤモヤした気持ちを引き摺ったまま…惚けてしまった。

合後に新井涼平が、「悔しいけど自分たちがシーズンを戦ってきて招いた結果。もっと上位に行けたら引き分けでも次に進めたのでしょうがないと思います」と言ったときは、“ずいぶん突き放した感じで言うなぁ”と思った。感情的にはストンとは落ちてこなかったけれど頭では“その通り”であった1-1で引き分けたプレーオフ1回戦敗退。

出悠太が「最初は悔しい気持ちだったけれど、(ロッカールームで伊藤彰監督の話を聞いて)申し訳ない気持ちになった。俺のことをキャプテンに指名してくれた監督の思いに応えられなかったことが悔しくて、申し訳ない感情が出てきて久々に泣きました」と話したのとは“湿度がずいぶん違うなぁ”と思った。共にベストを尽くしたが、それぞれの感じ方は今季の戦いに対する思いや温度の違いで――いいも悪いもなく――ドライな悔しさとウェットな悔しさに分かれた。

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