山梨フットボール

「ボランチが足りない事態にチャンスを得た甲府U-18・五十嵐琉偉」【練習場から】

FCソウル戦後、チームを離れる前に挨拶をする五十嵐琉偉。山梨に戻って、この経験をどう活かすかの勝負が待っている。

トレーニングマッチ大分戦(1月29日、0-3●、@鹿児島)の修正点である――守備のスライドや中に入っていく形などの戦術を意識するあまりの――アグレッシブさの欠如をテーマの一つにした2月2日の出稽古・FCソウル戦(35×4、2-2△、@鹿児島)。大分戦後、伊藤彰監督は「テーマを強調し過ぎて選手には難しいところがあったと思う。アグレッシブにやらせられなかったのは僕の責任」と話したが、この時期はテーマを持って臨み、意識することで、“あることをやり過ぎ”、“あることはやらなさ過ぎ”へと針が振れ過ぎるもので、最終的には針の振れを小さくしてバランスを取っていければ、引き出しを多くできると“まだ”受け止めることができる。

FCソウル戦はKリーグのチームだけにJリーグの相手にない独特なものがあった。それは球際。強いけれど、強いだけでなく汚い。そういうプレーはJリーグでもあるし、甲府の選手もやる時はある。ただ、それを徹底的にやってくる印象を昨季も今季も持った。抜かれる、躱されるとなったときは手でも足でも使ってイエローカードが出ない程度の接触で倒してゲームを切るし、球際でもイエローカードが出ない程度にほとんどの場合で――FKを与える代わりに――置き土産のように削ってくる。そして、自分がファールを受けると、大声を出して大げさに倒れる。そうやって勝ってきたサッカー文化なのかなぁと思う。日本代表が戦っても似たようなことがあると思うが、クリーンではないしファールでゲームを切ることが多いとサッカーが面白くない。憲法も拡大解釈されるけれど、フェアプレーを最大限拡大解釈したやり方だと思う。甲府にはそれをやらせない技術やパスワークが必要で、それが足りなかったり、試合中にプレーの判断を変えることができなかったりした選手は何度も削られた。これを乗り越えて、プレーの切れることが少ない、面白いサッカーを甲府は実現したい。

守備面ではディスったけれど、FCソウルの選手は個々が上手いことは確か。2位とのポイント差は開いていても、昨季のKリーグ3位は伊達ではない。1試合目(35×2)のメンバーは特に個の技術、ファーストタッチで躱す、ボールを失わない技術が高いし、フィジカルも強いしカウンターは鋭い。こういう相手とはJ2リーグではなかなか出会わないので、FCソウル戦の厳しさの感覚を次の岡山とのトレーニングマッチ(2月5日、45×4予定、@綾町)で判断の余裕からのテンポアップに繋げることができるかどうかがポイントになる。

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