山梨フットボール

無料記事「山梨日日新聞(2020年4月28日)に掲載された全面広告の深い意味」【コラム&インタビュー】

2020年4月28日の山梨日日新聞に掲載されたヴァンフォーレ山梨スポーツクラブの全面広告。

真は4月28日の山梨日日新聞の全面広告(22面)。最初は何気なく見た広告だったけれど、よく見れば選手・スタッフだけでなくスポンサー企業の代表者がそれぞれメッセージボードを掲げている。これは今季のスポンサー企業260社が何回かに分けて登場する全面広告で、掲載主はヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ。新型コロナ禍の中で大きな影響を受けているスポンサー企業が少なくないことは想像に難くなく、中にはこのままリーグ戦が開催されないのなら”止めたい”と思っている企業もないわけではないはず。

ラブとしてはリーグ戦が再開されない中で少しでもスポンサー企業の露出を増やして感謝と共に企業名を周知したいという思いがあるが、それに対して260社全てが全面広告に協力していることが凄い。新型コロナの収束からの終息時期次第のところはあるけれど、”止める”なら協力はしないんじゃないかと勝手に思った。また、山日YBSグループのライバルであるテレビ山梨(UTY)や系列企業も協力していて”共に戦う山梨県”の感じが尊い。

企業が少ない山梨県だが、社長の数は全国でトップクラス。つまり中小企業が多いことが特徴。クラブは顔の見える営業でスポンサー企業と関係を構築しているが、ファン・サポーターの影響力が凄いことも特徴。敏感なアンテナを持っているかSNSを使いこなしているファン・サポーターの中にはスポンサー企業が新しいことを始めたり、困っていると知ればすぐにそこの商品・サービスを購入する人が少なくない――フェラーリやロールスロイスがスポンサーになってくれても、さすがにTシャツやエンブレムのキーホルダーくらいしか買えるものはないと思うけど――。

ポンサーはこういう行為に対して感謝するが、ファン・サポーターは愛するクラブをスポンサードしてくれていることに感謝しているからこその行為で、感謝×感謝の関係。こういうファン・サポーターがいるからスポンサードを継続する経営者は少なくないと思う。実利は重要だが、それを超えて気持ちの面でもお互いに支え合っている。”人も企業もひとりや一社では生きられないのが現代社会”だと痛いほどに思い知らされたコロナ禍。”Jリーグどころじゃない”という状況に追い込まれている人も少なくないと思うが、小さな力だとしてもお互いに支え合って乗り越えましょう。

、締めるとなんかきれいごとのようになってしまうが、苦しい経営状況の中でもスポンサードしてくれる企業の中には、「ヴァンフォーレが存続できなければ(クラブからの)恩返しも何もない。存続してほしいからスポンサードするんだ」と言って広告料をドンと振り込んでくれた経営者もいたそうだ。熱くて生々しい。

ァンフォーレ甲府が勝ってもJ1に昇格しても山梨の経済が良くなることはないかもしれないが、見せるべきことは姿勢や心意気。地方の小さなクラブが日本中を相手にして努力と工夫で挑む姿を見せることが大事で、勝利や昇格はその結果でしかない。勝利は大事、でもその前に見せるべき姿がある。時期はまだ見えてこないが再開後、ヴァンフォーレ甲府の選手が戦う姿を見て県民、ファン・サポーター、スポンサーが”よ~し、俺たちもアイツらみたいに頑張ろう”というパッションや活力を注入することが選手・スタッフの使命。そこに矜持があるし、それをやれるチームだと思う。それまでもう少しみんなで耐え、クラブを支えてほしい。
(マツオジュン)

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