山梨フットボール

「追い付いた引き分けの内容にチームの進化や熟成に対する希望を感じられた山口戦」【2020明治安田生命J2リーグ第9節 甲府1-1山口 レビュー】

2020年8月2日 甲府1-1山口(18:03K.O/山梨中銀スタジアム/入場者数2,137人(新型コロナ感染予防対策制限付き)/天候 曇のち雨 弱風/気温 27.1℃/湿度 62%)

得点者 23’浮田健誠(山口) 67’泉澤仁(甲府)

△△△〇●○○△△

ち点1の試合になったことは残念だけど、チームの進化・熟成と改善が”そう難しそうではない課題”が見えて、結局はこの先もっとよくなるんじゃないかという印象の山口戦。大消耗戦必至の5連戦×6発を前に順位云々はまだないし、2位の大宮とは4ポイント差。大宮対福岡が福岡に感染者いるかもしれず(スタメンだった前寛之の陽性反応確認が8月3日にクラブから発表された)、濃厚接触者も特定できないということで直前に中止になったので1試合少ないけれど、ここからの超過密スケジュールの中でこの1試合をどこかに入れるのも大変だしやるのはもっと大変だし、今は”大宮が勝っていたら7ポイント差”なんてことは考えなくてもいいと思う。

がよかったと感じたのかといえば、全体のオーガナイズの中での武田将平の存在感。5-4の守備のブロックを作った中ではパスの出所に”行くべきか、行かない方がいいのか”で武田も野澤英之も悩んだと思うが、武田が積極的に守備のスイッチを入れ始めたことが素晴らしかった。試合を通じてDFラインを高くできなかったことはチームとしての修正点だと思うが、変えようとする選手がいてそれに周りが呼応した場面が何度もあったことが進化や熟成の始まり。そして、バロテッリになりそうだったジュニオール・バホスも松田力とフィーリングが合うのか、肉離れすることなく――パスが出なくても”ほぼ”腐らず――スプリントして、使われ・使いという連携プレーをしたと感じた。

ハード系ハンサム・武田将平のポテンシャルの高さを感じることができ、これからに期待が膨らむ。

口は前半から下げたボールをワンタッチで裏に入れることを徹底していた。心理として、ボールが下がるとDFは一瞬緊張感が緩むものだと思うが、出遅れて裏を取られるようなことはなかった。伊藤彰監督は「下げたボールにプレッシャーを掛けるのが遅かった」とZOOM会見で話したが、5-4のブロックを敷いているときに、形を崩してプレッシャーに行けばトントンと回されて出て行ったスペースを取られて、マークがズレるリスクがあるので完璧な正解の守備はない…と思う。ラインを上げられた時、上げられていない時に何をやるべきかの共通認識と割り切りが一致すれば失点の可能性はさらに下げられるはず。

23分の失点シーンは、5-4の守備のブロックを敷いて外で回させている感じでもあったので”やられそう感”はあまりなかった。映像で見返すとボールがあった左側に寄せていたので、”4”のところが余っていてプレッシャーに行くことができたようにも思うし、5-4-1の”1”のバホスが戻ってプレッシャーを掛けてもいい場面だが、バホスは”大丈夫だ”と思って奪ったボールが出たときに備えてスプリント体力を回復しながらブラブラしていたんだと思う。

試合前のアップでは松田力(右)とジュニオール・バホス(左)が2人組でヘディングをするなどしっかりコミュニケーションを取っていて、松田の外国人選手に対する心使いを感じた。

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