山梨フットボール

「前期の上位相手の連勝とは違う。運に左右されない流れを引き寄せる何かを身につけた勝利で首位徳島を撃破」【2020明治安田生命J2リーグ第27節 徳島0-1甲府 レビュー】


2020年10月17日 徳島0-1甲府(14:03K.O/山梨中銀スタジアム/入場者数 2,564人(新型コロナウィルス感染予防対策のため、入場可能数の50%以下の制限付き)/天候 雨 中風/気温 15.8℃/湿度 70%)

得点者 77′ ドゥドゥ(甲府)
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期の対戦からの進化や成熟をターンオーバーしながら発揮した甲府が、ターンオーバーをほとんどしないことで連携や強さをストロングポイントにしている首位・徳島に勝ち点3という結果を出したことは、選手の疲労の蓄積がピークに達するであろう終盤に向けて勇気と希望になる。徳島に勝って2位との勝ち点差を10ポイントに縮めただけなのでまだまだ勝ち続けないといけないが、ターンオーバーして首位に勝ったとことは甲府が選手層を厚くしてきたことを証明する勝利でもあった。

DAZNで見返すとか解説者は徳島がかなり有利だと思っていたようだけど、まずは内容で甲府が見せた。お互いに前プレ(前からのプレス)は掛け合ったけれど、松田力とドゥドゥのプレッシャーの掛け方は前半45分でガソリンタンクが空になるのを厭わない感じ。山梨に戻ってから松田に聞くと「徳島は(基本的に繋ぐ志向なので)ロングボールを蹴らないから連動すればハマると思っていた。(ドゥドゥと連携して前プレを掛けてDFの判断ミスを誘った6分の決定機はロングボールを蹴らないで)切り返すと思っていた」と話す。この決定機は「落ち着いてシュートを打てなかった」と泉澤仁が後悔したが、勿体なかった。

松田力の闘争心、運動量、走力、技術は素晴らしかった。最後まで攻守で戦うことができるアタッカーの存在は大きな武器となった。

ういうところで決め切れないところがまだ課題として残るが、松田とドゥドゥの前プレはチームの活力になっていて、主導権を取る原動力。松田は運動量をケチる選手ではないけれど、”最後までよくあれだけ走れたね”というと「”勝つしかない”という想いがみんなにあった。だから走れた。上位の潰し合いが絶対にあると思っているから勝ち点3を取らないといけなかった。3位以下で勢いがあるは俺らだけ」と話してくれた。

の後もピンチはあったものの主導権は甲府で、決定的なピンチがないまま試合が進んだし、河田晃兵の復帰でGKもターンオーバーになる中で少しメンタルバランスを崩しかけたようにも見えた岡西宏祐も立ち上がりから安定していた。ターンオーバーを受け入れ、自分と向き合えたんだと勝手に理解して見ていた。

水タイム後に山本英臣がボールを奪われてピンチが1回あったがこれはゴールの枠を外すシュート。この時間帯にピッチから聞こえた徳島の選手の声に、「中盤が1枚落ちて来い」というのがあった。DFの誰かが言ったのだが、それだけ甲府の攻撃の圧力を感じていたということ。武田将平と野澤英之のボランチがバランスよく攻守で中盤を支配していたことも大きかった。また、上位戦に初めて先発起用された荒木翔が――クロスでは見せ場を作れなかったけれど――守備では安定していたことも主導権を取れた要因で、同じポジションの絶対的な存在である内田健太に違う個性で一歩迫れたと言っていいだろう。

27分には泉澤のクロスからゴール前でガチャとなる決定機が生まれ、ドゥドゥが決定的なシュートを打つ。これも6分の決定機同様にGKの上福元直人に防がれる。こうなるとこれまでの勝ち切れなかった試合と似た流れで、なんとなく嫌な予感もしてくる。雨がずっと降っている中で、甲府の選手が柔らかくなった芝生で滑ったり、松田やドゥドゥが痛む場面が出てきて焦りが出たのかなぁという時間帯だった。その39分の徳島のFKが騒動になった。トリックプレーで甲府のDFラインを混乱させようとしたと思うが、まんまとジエゴに頭で決められてしまった。

一時はこんなスコアボードになるもオフサイドで徳島のゴールは取り消された。

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