山梨フットボール

「89分まではほぼ完璧な勝利。気にかかる点はみんなで受け止め勝ち続ける力に換えたい」【2020明治安田生命J2リーグ第29節 甲府2-1町田 レビュー】


2020年10月25日 甲府2-1町田(14:03K.O/山梨中銀スタジアム/入場者数 3,865人(新型コロナウィルス感染予防対策のため、入場可能数の50%以下の制限付き)/天候 晴 弱風/気温 22.7℃/湿度 27%)

得点者 9′ 松田力(甲府) 61’荒木翔(甲府) 90’オウンゴール(町田)
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晴らしい勝利も、喉に刺さった小骨が残ったような気分。一つは”2点しか”取れなかったことと、新井涼平が最後のオウンゴールに絡んでしまったこと。前者は翌週に伊藤彰監督に話を聞いて、現場の感覚を理解できたような気がするが、いい内容ならいい内容で、勝ったら勝ったで老婆心がムクムクと出てくるもの。2位・徳島との勝ち点差は11ポイントになったがまだまだ勝ち続けないといけない現実は変わらない。

田戦は始まって数分で”こんなにも上手くいくのか”と苦戦も覚悟していたので、いい内容であることに不安を感じるというか、現実なのかと思ってしまった。町田が前節、福岡相手に双方決定機がありながらの0-0で引き分けていてもっとパワフルだと思っていた。しかし、町田の前プレは4-4-2の2トップだけで、甲府のGK、DFライン、ボランチからすれば全然不安を感じない圧力。山本英臣や武田将平のポジショニングがよかったし、山本の長短、緩急の付け方が上手かった。”なんで町田のSHは前プレに来ないんだ?”とさえ思ったくらい。甲府からすればポジショニングがそれをさせなかったということになると思うが、選手を入れ替えた後半はもっとできていたので前半の町田はアグレッシブさが足りなかった。

の相手もこれくらいな感じだといいけど、栃木のことが頭にあったから町田戦を楽に勝ってはいけないような気がしていた。前半よくて、後半大苦戦というパターンもあったので絶対に勝てるとは思っていなかったけれど、ポゼッションが上手くいっている主な理由が”甲府がいいのか”、”町田がよくないのか”の判断がハッキリとはつかなかった。ランコ・ポポヴィッチ監督は「甲府が特別いいプレーをしたわけではないと思う」と試合後の会見で話したが、町田から見るのと甲府から見るのでは立ち位置が違う。山本は「大丈夫だからこそのミスがあった」というので、突き詰めるべきところはあるということ。

素晴らしい先制ゴールをワンタッチシュートで決めた松田力。ワンタッチで繋いで打ったからそこマークを外すこともできた。この得点感覚をシーズン最後まで持ち続けてほしい。

ゴールを決めた後、伊藤彰監督と抱き合う松田力。これで今季3ゴール目だが、この数字に満足はないので10ゴールを目指して終盤戦は大暴れしてほしい。

なくとも、失点する心配がほぼなかった中で、9分に松田力の先制点が決まり、その後もヒヤヒヤする場面はゼロではないものの、その手前で止めることはできていた。松田のゴールは、武田の展開が起点で、左で泉澤仁が作り、クロスをファーサイドに入れて、右WBの藤田優人が頭で松田に繋いで、素晴らしいワンタッチシュートを蹴り込んだ。アシストとゴールがワンタッチだったことに彼らの技術の高さを感じるし、判断も素晴らしかった。

れで内容だけでなく、得点という数字で甲府がいい状態で試合を進めることができていることを示した。でも、だからこその追加点が必要だと思っていた。甲府ボールになるとスタンドから拍手が沸き起こったのは嬉しかったし、今できる一番の盛り上げ方で雰囲気もよかった。23分に松田が裏に走ったドゥドゥに浮き球を合わせた場面などは2人のコンビネーションのよさでもあって、飲水タイム前にもう1点取って圧倒したかったが、シュートはファーに外れた。

水タイム後の33分に泉澤から荒木翔に繋ぎ、荒木がクロスを入れたが中で合わせる選手がおらず、スタンドから女性が「誰かぁ~(来て)」と声を出したのには同意しながらも笑ってしまったが、この試合でカウンターの時に前に入ってくる選手が少なく感じた。43分に甲府の右サイドで松田、藤田が前プレを掛けて、その裏を取られてチョット危うくなったが結局はシュートは打たせずで、この場面くらいが前半の危ないところだった。

半は町田が前線の3枚を代えてスタートし、48分のセットプレーで岡西宏祐が好セーブで防いだ場面を作られた。その直後は岡西のゴールキックからチャンスになりそうな場面も上がりが遅くて厚み不足。7分には裏に出たドゥドゥに決定機到来も納得できないオフサイドでチャンス消滅。それでも、後半は町田の前プレがちゃんと効いてきたので甲府にはカウンターのチャンスが増える流れ。このチャンスにカウンターから追加点を取って、甲府の攻撃が鋭いところを見せることが次の栃木戦に繋がると思っていた。

加点はカウンターではなく、左サイドで荒木が泉澤に出したボールを縦に走ったドゥドゥに繋ぎ、荒木がよく深いところまでラニングをしたからこそ生まれた。ドゥドゥの返しを思い切りよく打ったシュートがGKの反応を上回ってネットを揺らした。内田健太のコンディションの問題もあったが3試合連続出場した荒木は運動量の低下も、キレの鈍りもなくやり遂げたことも素晴らしかった。ただ、この2点で満足してはいけないと思っていたから3点目が取れなかったことは不満に思っていた。

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