山梨フットボール

「得るものがほとんどない敗戦。最初から最後まで”地域リーグ”という相手に対する無意識の甘さや隙があった福井戦」【2021天皇杯JFA第101回全日本サッカー選手権大会2回戦 甲府1-2福井 レビュー】


2021年6月9日 甲府1-2福井(19:00K.O/JITリサイクルインク スタジアム/入場者数 1,381人/天候 曇 弱風/気温 25.2℃/湿度 34%)

得点者 23’パウロ・バイヤ(甲府) 90+1’賀澤陽友(福井) 90’+5金村賢志郎(福井)

果として強く感じるのは、”地域リーグ(北信越、福井)の相手”ということがずっと最後まで危機感を高めることができず漫然と勝利を信じる隙や弱さに繋がっていたということ。そして、川崎Fが長野に大苦戦し、横浜FM、F東京、仙台とJ1クラブがカテゴリーが下のアマチュアに敗れたことで、甲府が3つ下のカテゴリーの福井に負けたことは全国的にはジャイアントキリングの一つにも数えて貰えず、悪目立ちすることもなく天皇杯から地味に姿を消した…。

発予定だった有田光希が前日練習後にコンディションに問題が起きてスキップし、三平和司が先発した甲府。小林岩魚、中山陸の2人が今季初の公式戦で野澤陸はプロ入り最初の公式戦となった福井戦。キックオフ直後は福井がボールを持つ時間が少し長かったが、そのうち押し返すかなぁと思っていた。しかし、全体的に落ち着きがない印象がハッキリした甲府。12分に左から入れたクロスを福井のFWの森永秀紀がシュートし最初の決定機は枠の上。15分にはトップ下の賀澤陽友がドリブルからシュートも河田晃兵がキャッチと決定機を連続で作られた。

府は右サイドの鳥海芳樹、中山、小林、野澤のところで守備の連携とプレスが不十分で、”上手くいっていないキックの質が高いチーム”という印象。11分に相手のファールで脛の下を痛めた野澤がワンプレーごとにそこを気にしている様子を見て宮崎キャンプで伊藤彰監督が発した言葉を思い出した。野澤が接触プレーで痛がることが多く、「プレーができないくらいなら言ってくれ。でも、やれるなら痛がらずにやれ」という趣旨の言葉。野澤に後で聞くと「問題なかった」ということだったので、緊張感で無意識に痛めたところを触っていたのだと思った。野澤は素晴らしいCBに成長する可能性を持つ選手だが、メンタル的な強さを引き出せるようになるまで少し経験は必要かもしれない。

パウロ・バイヤのゴールで先制した時は”何とかなるだろう”と思ったが、なんとかならなかった…。

ームとしてはよくないなりに23分に先制点をパウロ・バイヤが決めたことは素晴らしかった。相手がクリアしきれなかったルーズボールを上手く引っかけてパンチのあるシュートに持ち込んだ。先制したことで、”なんとかなるだろう”という安心感も同時に芽生えた。前半は11人をパートで見ていて、”やれている選手”と”やれていない選手”の2種類に分けて見ていたが、”リーグ戦に出ている選手は頼りになるなぁ”と呑気に見ていた。これも見る側の甘さ。

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