山梨フットボール

無料記事「関口正大が家族について伝えたいこと」【練習場から】

新潟明訓高校の先輩・中村亮太朗(左)には大学4年で練習参加し、特別指定選手になったときに”結婚”を伝えていた関口正大(右)。法政大学ではチームメイトに気を使わせないために監督とコーチ以外には伝えていなかったそうだ。

大Gの駐車場で関口正大が3列シートのSUVに乗っているのを見かけて、「(独身なのに)何であんな大きな車買ったん?」と何気なく聞いたときに「俺、結婚してて子供もいるんです」という答えが返ってきて、最初は大きな車が好きなことを冗談で返したのかと思っていたら「本当です。学生結婚してて、チームメイトはみんな知ってます」と言われて驚いたのは事実。若くして子供に恵まれ、結婚してしっかり仕事をしているとはいえ、それをあえて公にするとネガティブに受け取られることもあるから、そうしなかったということも理解できたけれど、やっぱり驚いた。プライベートなことなので望まないのなら記事にすることはないし、とくに接し方が変わることもなかったが2週間くらいして”関口自身が公表したい気持ちがある”ということを広報から聞かされた。今の時代、知っている人は知っていることなのかなぁとも思っていたが、「イオンとか家族3人で行きますけど、誰にも気づかれたことないですよ」という話もしていたので、いつかは話した方が気持ちが楽になるかなぁとは思っていた。「書いてもいいですよ」と言われたときに、サラリと書くことがあるかなぁと思っていたが、改めて話をしてくれたので記したい。

今季、同期加入の須貝英大(左)が大学4年冬のケガで長いリハビリで気持ちが滅入りそうになっているときは開幕戦から試合に出続けていた関口正大(右)が話を聞いて支えることもあったが、ケガが治った須貝が試合に出始めるタイミングで関口がケガで離脱。法政大のキャプテン・関口と明治大のキャプテン・須貝のプロ1年目はクロスする関係だが、お互いに支え合ってチームも支える存在になっていく。関口が身体もメンタルも完全復活して再び先発競争に加わることで法政のキャプテンと明治のキャプテンの両WBという布陣の可能性も出てくる。

――公表する心境に変わった理由は?

ケガをして改めて支えられている…サッカーに前向きに取り組める環境を家族が作ってくれたり、自分がいない中でチームが連勝すると嬉しいけれど悔しさもあるんで…独りなら結構考え込むタイプなんで…いい意味でそれをさせてくれなかった。家族の支えが…リフレッシュしてピッチで自分がやるべきことに前向きになれていることを…ケガした期間に支えられていることを感じたんで、時期的にも(ケガから復帰して)これから自分が頑張っていこうと思うのでいい機会だと思いました。

――SNSなど公表の方法がいつくもある中で迷いましたか?

どんな形でもよかったんですが、クラブを通すのが筋だと思いました。学生結婚で子供がいるとなるといろいろな解釈、受け取り方があると思いますが、まずはクラブを通じて発表し、そのあと自分から伝えたいと思っていました。

――学生結婚は珍しいけれど、昔からあったことだし、しっかり家族を守っているんだし、家族がいる選手も多いから…驚きはするけれど、世の中の反応を気にする必要はないと思いますよ。

最初は親にも反対されましたが、決めるのは自分だと思いました。いろいろな伝え方があると思いますが、妻とも相談して”クラブからリリースを出して貰おう”となりました。プロ1年目ですけど、半年以上ファン・サポーターの皆さんに支えて貰ったことは間違いないんで、まずはクラブを通してちゃんと伝えたいと思いました。

――若い選手に責任感がないという意味ではないですが、若くして結婚して子供にも恵まれたとなると同世代とは責任感というか、背負っているものが違いますね。道理でしっかりしていると思いました。

本当の意味で生活が懸かっていますが、大学時代(3年生の冬に入籍、4年生の春に長女誕生)に結婚を決め、子供を産むと決め、そのときに覚悟は固まっていました。そこからよりサッカーに打ち込めたのも家族のお陰。そういう気持ちにさせてくれたのも家族。

――独り暮らしだとケガをした時は悶々としたかもしれないですね。

本当にそうなんです。性格的に考え込むタイプなんで支えられていると思います。

――奥さんは小学校からの幼馴染だと以前教えてくれましたが、何かスポーツをやっていたんですか?

バスケットボールをやっていました。

――何か心に刺さるような言葉を掛けてくれたことはありましたか?

人間的に強い人なんです。パン屋さんをやりたくて…新潟県内の彼女が好きなパン屋さんで働いていたんですけど、それを辞めて山梨に来てくれました。「自分は好きなことを辞めて山梨に来たのに、アンタは好きなことができているのに落ち込む暇があったらやりなよ」という感じのことを言ってくれました。お互いに思ったことを言い合えるし、”確かになぁ…”と思うことを言ってくれます。サッカーには詳しくないですけど、客観的に物事を見てズバッと言ってくれるので気付かされることが多いです。

――前向きになれそうな会話と関係ですね。

言われた瞬間は”イラッ”とすることもあるんです…正論過ぎて。でも、次の日になって冷静になると”そうだよなぁ”となって、”がんばろう”と思うんです(笑)。

――晩婚化が進む世の中ですが、大抵の人よりは早い年齢で結婚して子供に恵まれ、プロサッカー選手になったんだから、同世代のサラリーマンにはできないようなこと、”奥さんにパン屋さんを出店させてあげる”という夢を叶えたいですね。

将来的には…そういう話をしたこともあります。これも僕の目標でモチベーションになっています。パンだけでなく、製菓も勉強していて好きなんです。そこはやらせてあげたいと思っています。子供のためにも頑張ろうと思うし、若いときに苦労を掛けたので楽をさせてあげたいと思っています。

――ありがとうございました。先発の座を高いレベルで競争して再び勝ち取ることを期待しています。そして、甲府盆地か八ヶ岳山麓あたりにお洒落なパン屋さんが1軒増えることを勝手に期待しています。

チームメイトの中で関口が結婚していることを一番最後に知ったのが同期加入の鳥海芳樹(桐蔭横浜大卒)。法政大同期の長谷川元希には甲府加入が決まった段階で伝えたが、”全然驚かなかった”そうで、同じく同期の野澤陸(産業能率大卒)も「今度遊びに行くよ」という感じだったが、鳥海は人伝に聞いて「え~、何で言ってくれなかったの」と一番驚きの反応をみせたそうだ。なんとなく分かる気がする…オイシイ・キャラクター。

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