山梨フットボール

無料記事「吉田達磨新監督合流前日、1月13日は初の午後オフ…その理由はコンディショニング」【練習場から】

甲府は去年J1に昇格出来なかったけれど、3位までいったことが頷ける(大塚真司ヘッドコーチ)

1月9日に山梨県内(韮崎G)で始動した甲府は翌日から一次キャンプ(静岡市清水区・Jステップ)をスタートして13日で5日目。若手選手を中心に始動日から強度とスピードが速い球際を見せていたので疲労が気になっていた。14日の午後に吉田達磨新監督が合流する予定だが、始動日から6日目でそろそろ疲労もピーク。オフ明けということもあるし、新監督にアピールしたい選手がハッスルし過ぎてケガのリスクが高まることを心配した。

ベテランの三平和司は「(今の)乳酸が出るトレーニング、ケガ人が出なければチームは(スタートに)成功するんじゃないですかね。(吉田監督が)合流するタイミングで若手はアピールしていつも以上の力が出ると思うけど、ケガまではいかないで欲しい。甲府の選手はみんな真面目で手を抜くことはないが、無理をし過ぎずにやって欲しい。僕はゆっくりやるので僕が(吉田監督に)怒られるくらいでいい(笑)」と話していた。しかし、12日のウォーミングアップではヘディングのみのパス交換で膝下のボールに頭からダイビングしてボールを繋ごうとしていて、「あれは34歳のオジサンがやるプレーではなかった」と笑うが、2022シーズンと達磨ヴァンフォーレに懸ける思いは若手以上かもしれない。

1月12日の午後練習の準備をする大塚真司ヘッドコーチ(写真には写っていないが大柴克友コーチ、中川雄二GKコーチもほぼ同じタイミングで準備を開始していた)。JFAの指導者講習が充実しているので今の指導者は誰もがしっかり練習の準備をするのが当たり前の認識も、大塚真司ヘッドコーチは午後練習が15時からなのに13時過ぎにはピッチに出て準備を始めていた。選手は昼食後リラックスしたり、昼寝ができるがコーチはその間練習の準備をする。”アスリートファースト”という言葉がよく使われるが、アスリートはファーストしてもらっていることに感謝し、責任を感じる必要がある。写真の大塚ヘッドコーチは、練習メニュー・意図に対して、コーンの距離・位置が適切なのかを自分で動いて確認しているところ。

球際や競り合いは激しいのに、痛がって倒れる選手が皆無と言っていい今季の甲府の練習。ここに選手間のリスペクトやモラルがあるのだと思う。写真は内藤大和(左)と松本凪生(右)の競り合い。

午前練習は持久系・ミドルパワー系のメニュー中心で、午後は技術・戦術、ゲーム体力を11対11のゲームに近付けるメニュー中心で日々前進。少数派となったフィールドのベテラン勢(山本英臣、三平和司、新井涼平)は経験値が豊富なので、筋肉と腱と関節が限界になる前のところで上手くセルフコントロールしながら若手に喰らいつく。

昨季終盤に手に入れた自信が過信や慢心になっていないことを早く確認したいが、焦らず、ケガ無く進みたい。

大塚真司ヘッドコーチは、「(練習に臨む)選手の意欲は素晴らしい。監督が不在でも意欲的に一つひとつのトレーニングに取り組んでいる。個人の意識、クラブの意識が…甲府は去年J1に昇格出来なかったけれど、3位までいったことが頷ける。クオリティを含めてそう感じています。去年の自信が過信になっていないことも感じる。また、球際を強く行っているがチームメイトに対するリスペクトがあるから削るまではやらない。そういう意識、モラルの高さも感じる。現場にいる我々コーチングスタッフは吉田監督と連絡(吉田監督は練習の映像も見ることができる)を取りながら選手の体調をコントロールしている。一つひとつのトレーニングを大切にして、離脱者が出ないようにしたい」と話していて、13日の午後にオフを入れたのは体調コントロールの意図があるのだろう。

山本英臣、河田晃兵、新井涼平ら第1次吉田政権を知る選手はそんなに構えた感じはないけれど、初対面となる若手は平静を装いながらも”どんな感じの人だろう…”と、心の中で構えている感じもする。エルゴラッソの選手名鑑の取材で毎日複数選手のコメントを取っているので、その流れで「(吉田監督は)練習メニュー・アイディアの引き出しが多く、練習が面白いと感じると思う。ただし、理解不足のまま練習を続けるとチャンスを逃すかも…」的なことを――無責任に――伝えているが14日の午後に吉田監督が合流してからの練習がどんな感じになるのか楽しみ。
(松尾ジュン)

新型コロナウィルス感染症対策でキャンプが今年も非公開なのは残念。しかし、Jステップの皆さんはヴァンフォーレ甲府の”のぼり旗”を数多く掲げてくれている。この風景を見てある人は”多くの旗にファン・サポーターを感じることができる”と話した。

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