『劇場版ATARU』 堂々の興行成績第1位・・・・どうでもいいよこんなコントみたいな『レインマン』 (柳下毅一郎) -3,289文字-
『劇場版ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL』
監督 木村ひさし
脚本 櫻井武晴
撮影 唐沢悟
音楽 河野伸、ノ・ヒョンウ、羽深由理
出演 中居正広、北村一輝、栗山千明、堀北真希、村上弘明、松雪泰子
いやーこれ映画館で予告編見るたびにイライラさせられていたわけですが、元はもちろんテレビドラマだったわけで、テレビの視聴者はあの中居くんが小首をかしげてあらぬ方を見つめ、小指をたてて「みっしょん・あくせぷてっど」とか言うの見て「うぜええ!」じゃなくて「かっこいい! これ見よう!」と思うのだろうか。思うんだろうなあ。このうざいうざい中居くんの演技が受けて堂々の興行成績一位であります。
このうざい演技からもおわかりのように、ドラマは映画『レインマン』から多大なインスピレーションを受けたサヴァン症候群の自閉症猪口在(中居正広)が天才的頭脳によって難事件を解決するFBI捜査官を演じるストーリー。映画版ではアタルの幼なじみである悪のサヴァン症候群アレッサンドロ・カロリナ・マドカ(堀北真希、この役名も……)が同じように宙を見つめて小指をたてて……
いや、それサヴァン症候群と関係ないし、別に自閉症の人がみんなあらぬ方を見つめるわけでもないと思う! 自閉症やサヴァン症候群に関してあらぬ偏見を広げてるだけじゃないかと思うんですが、そういうこと誰も考えないのかなあ。少なくとも『レインマン』は実在のサヴァン症候群の人物をモデルにして、ダスティン・ホフマンはモデルの人物に会ったうえで演じているはずだが、中居くん、どう見ても『レインマン』見ただけ……
さて、物語はラスヴェガス、ベラージオ・ホテルの前に立つアタルからはじまる。噴水の動きから何かを読み取ったアタルは「テレフォン、テレフォン……」と電話をかける。電話の先はFBIのラリー井上(村上弘明)であった。村上は「アタルが行方不明になった!そっちに連絡行ってない?」と日本の元美人刑事舞子(栗山千明)に電話しているところだった。そこへアタルから電話が「表へ出て」「え?」といきなり配電盤から漏電して事務所が爆発! そこはニューヨークだった!
てアタルが出て行ってニューヨークからラスヴェガスに着くまで気づかなかったのかよ!FBIってどれだけボンクラ揃いなんだ!
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