柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『ゲームセンターCX The Movie』 -別に映画なんか作らなくったって、10周年記念ぐらいできるのよ? (柳下毅一郎) -3,128文字-

FireShot Screen Capture #212 - '映画「ゲームセンターCX THE MOVIE」' - www_gccx-movie_jp

 

『ゲームセンターCX  The Movie  -1986 マイティボンジャック-』

監督 蔵方政俊
脚本 酒井健作 市川豊
脚本協力 岐部昌幸
出演 有野晋哉、吉井一肇、平祐奈

 

ico_yan 最近ではタイトルに「The Movie」とついているだけでついぴくっと身体が動く体質になってしまったわたくし。今度は『ゲームセンターCX The Movie』。『劇場版キス我慢選手権』に匹敵する「おまえは何を言っているんだ」案件である。

ゲームセンターCX Vええと、ゲームセンターCXというのはフジのCS放送で2003年からやっているゲームバラエティ番組。よいこの有野晋哉がファミコンのレトロゲーにぶっつけで挑戦し、苦戦しながらも攻略して最後には感動のエンディング!って単に芸人がゲームやってるのを見てるだけだよ! でもこれ、見ていると結構面白かったりするんだよね。ただ無心に何かひとつのものにとりくむ姿は、その対象のことを知らなくとも面白かったりするのだ。さて、だがじゃあ映画にするってのはどういうことなんだ? ていうか、いったいどんな映画を作るつもりなわけ!?

映画版の対象ゲームは1986年発売のマイティボンジャック。迷路のような通路の中に配置された爆弾を取りながらステージをクリアしていくゲームなのだが、半端ない難易度で挫折者続出のゲームとして有名なのだそうだ。

マイティボンジャックたしかにものすごいスピードで沸いてくる敵をかわしながら狭いスペースを抜けていくのはたいそう難しそうだ。各ステージは通路面と「王家の部屋」面の二面構成になっており、途中でしくじるとその面の最初からやりなおし。「王家の部屋」だけは「ワープ」して次の面の「王家の部屋」まで飛ぶことができる。ただしここで死ぬと、ワープ前の面まで戻されてしまうので、ワープすべきかどうかには慎重な判断が求められる。このマイティボンジャックをとりあげた回は傑作と語り継がれているのだという。さて映画は2006年某日、『ゲームセンターCX』で有野がマイティボンジャックに挑戦する場面からはじまる。当然の高難易度で、たちまちゲームエンド。ところでこの番組では有野が詰まるとADがヒントを教えたり、助けてくれたりする。マイティボンジャックの場合ライフの無限増殖という技があり、有野が休んでいるあいだにADがちまちまこの技をやってライフを増やしてくれる。それでも容赦なく死んでいくジャック。当然時間内でのクリアは不可能で、有野は延長戦(残業)に突入。

 

そこで舞台は変わる。1986年7月13日。夏休みを目前にした中学生のダイスケ(吉井一肇)はファミコンと少年ジャンプに夢中だった。早売り店で土曜日にジャンプをゲットし、「まさか『DRAGON BALL』にアラレちゃんが出てくるなんて……」と感心しきり。朝礼のときにそんな話をして同級生に感心されたりしている。なんとなく憧れの美少女クミコからも熱い視線を寄せられているような? 教室に戻るとクミコから話しかけられる。

「ダイスケくんってファミコン好きなんだよね~? ダイスケくん、面白いね!」

まさかのファミコンモテ!

 

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tags: テレビバラエティ 劇場版 吉井一肇 岐部昌幸 市川豊 平祐奈 有野晋哉 蔵方政俊 酒井健作

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