柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『ニューヨーク 冬物語』 光のシーンでは常に「キラーン☆彡」 [♪akiraのスットコ映画の夕べ] -3,900文字-

FireShot Screen Capture #342 - '映画『ニューヨーク 冬物語』オフィシャルサイト' - wwws_warnerbros_co_jp_winterstale

 

ニューヨーク 冬物語(2014/米)

監督・脚本 : アキバ・ゴールズマン
出演 : コリン・ファレル、ラッセル・クロウ、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ

ウィンターズ・テイル(下) ひょっとこ原作はマーク・ヘルプリン『ウィンターズ・テイル』。早川書房HPの紹介では「生まれながらにして古典的名作」と書いてありますが、一体どうしたらこんな珍妙なものになってしまうのか! しかもなぜ初夏の今公開。(本国では2月14日)

2014年冬、書きすぎて失敗したような太眉の男がNYのグランド・セントラル駅に向かっていた。名前はピーター・レイク(コリン・ファレル)。駅天井裏の小部屋に隠されていた小箱を取り出すと、その中には古い毛布と、City Of Justiceの文字が彫られた手のひらサイズの金属のプレートが入っていた。

画面変わって1895年のNYエリス島。米国移住審査の列に赤ん坊を抱いた夫婦がいた。健康診断で伝染病患者だとわかり、二人は入国を拒否される。打ちひしがれた夫(この数カットのためだけにマット・ボマー起用!)は待合室に飾ってあった船City Of Justiceの模型を盗み、赤ん坊をそれに乗せて、故国に戻る船から陸に向かって流すのだった。<かなりリスキー

時がたち、今度は1916年のNY。真冬の路地で巨大な鉄の門に行く手をふさがれていたのは、移民船から無事NYに流れ着き、立派なチンピラに成長したピーターだった。問題を起こしてギャングの一団に追われていたのだが、顔中傷だらけの親分、パーリー(ラッセル・クロウ)も現れ、もはや万事休す!…と横を見ると、いきなりの白馬登場!!

 

 

一瞬で意気投合(?)し、馬の背にまたがって逃げようとしたピーター。だが馬は反対に門に向かってまっしぐら! 何メートルもある鉄の門をひらりと飛び越えた馬に一同びっくり。アジトでパーリーが宝石を手に取ると、陽の光が差し込み、ピーターの逃亡先、グランドセントラル駅を3Dホログラフィで映し出す…んですけど、この映画、光のシーンでは常に「キラーン☆彡」という大変わかりやすい効果音が使われてそのたびに失笑。

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tags: アキバ・ゴールズマン マーク・ヘルプリン

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