▽[殺し屋日記] 柳下毅一郎の7/1~14 『バトルフロント』『トルコ渡り鳥』『収容病棟』『孤高の守護神 ゴールキーパー進化論』『喜劇特出しヒモ天国』『好きっていいなよ』
7/1(火)
ドイツ2-1アルジェリア
ノイアー無双。いやーノイアーみたいなGKがいるとサッカーが楽だねえ。「ブラジルの57%は熱帯雨林に覆われている。残りはマヌエル・ノイアーがカバーしている」みたいな感じでノイアーがペナルティエリア外に出まくってセーブしまくり、延長に入ってもドイツが負けそうな雰囲気はかけらもなかった。
夜。スナック・アーバン四周年記念で一日マスターをつとめる。
木村式奇跡のお酒をふるまってみました(別に木村さんが作ってるわけでも林檎のリキュールでもなく、ただの無農薬有機栽培の米で作ったお酒)。それにしても去年は体験入店だったのに今年は一日マスター、出世したものだ!
7/2(水)
新宿ピカデリーで『渇き』。クソが……!
その後G街に出かけ、某映画監督と飲む。
7/3(木)
シネマート試写室で『バトルフロント』。ジェイソン・ステイサム主演の田舎アクションなんだが、なかなか悪くない。いかにもスタローンらしい「目のつけどころはいいけど作りは雑」な映画。ウィノナ・ライダーに無常観を感じずにいられなかった……
その後ラピュタで芹明香特集『トルコ渡り鳥』。芹明香と言えば立ちションベンだが、これは最初から最後まで立ちションベン。それにしてもラストの絡みからションベンの流れ、よく撮影できたもんだ。昔は良かったなあ。
7/4(金)
高橋ヨシキ聖誕祭@LOFT+1
フランス0-1ドイツ
戦術ノイアー。「残念、そこはノイアーだ!」とやってたらいつの間にか試合が終わっていたよ。
7/5(土)
ブラジル2-1コロンビア
ネイマール腰椎骨折って……手術が必要な怪我ではない、というのが唯一の救いだろうか。これでボロボロの準決勝で世界最強GKを打ち破り、決勝でネイマールが奇蹟的復活を遂げて登場!とかなったらネイマール神社が建つところだが……ただし今回のブラジルの強さは前線よりもCB二人の異様な固さのほうにあると思うので、準決勝はチアゴ・シウバの欠場のほうが何気に痛いのではなかろうか? なんにせよ大一番になったなあ。
シアター・イメージフォーラムにて『収容病棟』見る。この面白さたるや。あちこちで言ってるんだけど、ぼくは王兵の映画を見るたびにフラハーティのことを思わずにはいられない。映画のはじまりに帰る。それが王兵。
7/6(日)
オランダ0-0(PK4-3)コスタリカ
コスタリカのボルヘスが気になる。やはり博学で華麗なトリック・プレーを決めたりするのだろうか……と思っていたが試合はナバス無双。ひたすらロッベンのダイブ→ナバスのセーブのくりかえしで延長に入り、これはコスタリカが絶対有利な流れ! オランダとしては絶対にPK戦にはしたくないだろうなあ、と思っているとまさかのピンチGK。よっぽど元のGKがPK苦手じゃないとこんなことしないよな……シレッセン、キャリアで一度もPKを止めたことがないんだととか。代表にまでなったGKが「キャリアで一度もPK止めたことがない」というのがさすがはオランダ。コスタリカはPKでボラーニョとボルヘスは決めたのだが……マルケスとかカルペンティエールがいれば勝てたんじゃないかと思った。
夜、横浜へ出かけたので珍獣屋で人食いザメとか食う。友達を呼び出して野毛を案内してもらう。野毛はいいなあ。
7/9(水)
ブラジル1-7ドイツ
ものすごいものを見てしまった。さすがの空気を読まないドイツすら「やっちまったかな……」という顔をしていた。最初、コーナーキックからの簡単なスクリーンプレーでミュラーがどフリーになってゴールを決めたときはおいおいおいおいと思ってたら(よりによってエースをあんな簡単なプレーでフリーにすんなよ!)……そこから……ブラジル脆すぎんよ。ちなみに1950年ブラジル大会でワールドカップに初参加のイングランド代表がアメリカに0-1で負けたとき、結果を知らせる電報を英国人はみなジョークかミスプリだと思ったという。翌日起きて結果を見た人もそう思うだろうなあ。ちなみにそのイングランドvsアメリカ戦の会場もベロ・オリゾンテ。
この結果を鑑み、ブラジルのことを「1-7」と呼ぶ辱めが個人的に流行中。「7-1ワックスで脱毛しないと7-1水着着られないよね」とかなんとか。
7/10(木)
オランダ0-0(PK2-4)アルゼンチン
昨日の惨劇のせいで、準決勝でオランダvsアルゼンチンという好カードのはずなのに、どうしても前座感が抜けない。ロッベンが完璧に封じられてダイブすらできない始末。最後の決定機も止められてしまったしな。アルゼンチンおめでとう!と言いたいところだが1990年大会の再現とかいうとまたぞろ空気を読まないドイツに……あの決勝、いまだにワールドカップ史上に残るつまらない決勝と呼ばれる塩ゲームだったなあ。
ゴールキーパーが注目される大会にあわせて『孤高の守護神 ゴールキーパー進化論 』(ジョナサン ウィルソン 白水社)読む。原題はThe Outsider。つまりゴールキーパーをピッチでたった一人、他と異なる論理でプレイする孤独の人として論じる。GKのフィールドプレイヤー化をチームへの「再統合」とする視点が興味深い。著者はイギリス人なので、英国GK史がやはり圧倒的に面白い。「(ブライアン・)クラフはほかの選手も大切にしていたが、(ピーター・)シルトンに対しては敬愛以上の強い思いがあった。もし妻のバーバラと結婚していなかったら、クラフはたぶんシルトンと結婚していただろう」なお、スペインのGKについて「取り返しのつかない決定的なミスをしてしまうことが、スペインの「伝統」にさえなっているように思える」と書いているのが、今大会の結末を見るとさらにおもむき深い。もっともこの本ではカシージャスはその「伝統」を打ち破った存在とされているのだが。
自費出版図書館に行くも肝心の資料は見つけられず。
夜、ラピュタ阿佐ヶ谷で『喜劇特出しヒモ天国』。
芹明香特集、最終日なので混み混み。池玲子がトップビリングなのだが、やっぱり主役は芹明香になっており、最後はきっちり芹さんで終わるという。いい特集でした。
7/12(土)
アップリンク・ファクトリーで『リアリティのダンス』初日トークwith滝本誠。
まあ、なんとかかんとかこなす。
7/13(日)
三位決定戦
ブラジル0-3オランダ
もうすっかりネタにしかならなくなったサッカー王国。twitterでもボロクソに言ってました。オランダの二点目が本当に酷かった。それにしてもフレッジといいフッキといい、ブラジルの攻撃を見てこんな侘しい気持にさせられる日が来ようとはねえ。
夜、浮かぶでワイン会。たまたま60年代、70年代、80年代のワインが揃ったので、まとめてあけようというイベント。予想通り70年代と80年代のワインはブショネっていた。ただ、生まれ年ワインは本当に美味しかったです。ワインが「開く」ってこういうことなんだ!
7/14(月)
決勝
ドイツ1-0アルゼンチン
一応予想としては3-1でドイツだったんだけど、結果はこういうことでまあ順当。アルゼンチン勝ち味がほぼなかったもんなあ。
夜、新宿ピカデリーにて『好きっていいなよ』。
その後G街シーサンに行ったらおもろいおねーさんがいた。