柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『ギャラクシー街道』 それ何おもしろいの? 手を抜いているんじゃないなら、三谷幸喜の精神状態が心配になってくる(柳下毅一郎) -2,927文字-

FireShot Screen Capture #026 - '映画『ギャラクシー街道』公式サイト' - galaxy-kaido_com_index_html

 

ギャラクシー街道

監督・脚本 三谷幸喜
撮影 山本英夫
音楽 荻野清子
出演 香取慎吾、綾瀬はるか、優香、梶原善、大竹しのぶ、西田敏行、小栗旬、遠藤憲一、秋元才加、西川貴教、段田安則

 

face 時は西暦2265年、太陽系第五惑星と第六惑星のあいだにうかぶスペース・コロニー「うずしお」と地球を結ぶのがルート246666、人呼んで「ギャラクシー街道」。かつては幹線としてさかえたが、今では通る宇宙船も少なくすっかり老朽化して廃止が囁かれている。そこに一軒のハンバーガーショップSandSand33ハンバーガーの支店があった。すっかり閑古鳥が鳴いているギャラクシー街道支店は支店長のノア(香取慎吾)、その妻ノエ(綾瀬はるか)、ちょっとボケ気味のスペースアルバイトハナ(大竹しのぶ)の三人で回している。だがノアはすっかり宇宙ハンバーガー屋に嫌気をさしており、地球の店への転勤願いを(郵便で!)送る。さらにはうちに寄りつかず、しょっちゅう出歩いている妻には浮気疑惑。そんなある日、店にやってきたお客の顔を見たノエは仰天する。それはなんとノエと結婚前にノアがつきあっていた女優レイ(優香)だったのだ。ノアがレイに未練を持っているのではないかとノエは不安になるのだが、一方で謎の男(遠藤憲一)がハンバーガーショップにあらわれると彼女は真っ青に……

さて三谷幸喜監督第7作は初のSF映画だそうである。タイトルはハンナ・バーベラ風のアニメで出るので、まあ、そういう牧歌的なSF世界だ。ノアのハンバーガーショップにはさまざまな宇宙人が訪れ、常識はずれな彼らのせいでてんてこまいの大騒動がくりひろげられるコメディ……というお話だ。いやまあ、少なくともそういうものとして作られているはずである。ところがどっこい、これが何ひとつおもしろくない。宇宙人たちのギャグがあまりにつまらないので、見ているうちにこっちが不安になってきた。いや、これひょっとして世間では面白くって、オレが変なだけなのかな?

 

 

たとえばカエル型の宇宙人(西川貴教)が来店するが、ノアはその種族を嫌っていて、追い返そうとする。

「だってあいつらの座ったあとベタベタになるんだぞ」

ノエの懇願でハンバーガーを売ることにするが、席が濡れないように席にビニールシートを敷かせる。青いレジャーシートに座ってべちゃべちゃとハンバーガーを食べるカエル型宇宙人。

たとえばやってきた宇宙パトロールのハトヤ隊員(小栗旬)と隊長。

「隊長、聞いてください。実は……ぼくが(超人)キャプテン・ソックスなんです!」
「またまたあ~」
「よく思い出してください。キャプテン・ソックスが活躍してるとき、いつもぼくはどこにいました?」
「はっ……そう言えば!」

 証拠を見せようとトイレに入ると、そこでは先客のレイの夫(梶原善)が用を足している。開いてから個室に入り

「おいなんで服を脱ぐんだ!」
「だって大きくなると破れますから」
「パ、パンツまで……?」

……本当に面白いと思って書いているのかな三谷幸喜。手を抜いているんじゃないなら、三谷幸喜の精神状態が心配になってくるレベルのつまらなさ。

これ、お話はすぐにわかるようにロードサイドのレストランや宿場を舞台にしたドラマを宇宙に置き換えたものである。訳ありの人たちが流れてきて人間模様をくりひろげる。「訳あり」の部分が「宇宙人」に置き換えられている。そう考えると、この話がなぜつまらないのか(そして、三谷幸喜が何を勘違いしてるのか)よくわかるんだな。

 

 

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(残り 1493文字/全文: 3004文字)


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tags: SF グルメ 三谷幸喜 優香 大竹しのぶ 小栗旬 山本英夫 梶原善 段田安則 秋元才加 綾瀬はるか 荻野清子 西川貴教 西田敏行 遠藤憲一 香取慎吾

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