『新宿ミッドナイトベイビー』 あの監督、待望の新作!今度はゲイの結婚もの。見せたいのは男同士の結婚式 (柳下毅一郎)
監督脚本原作撮影 寺西一浩
録音照明音響 鈴木一男
出演 久保田秀敏、矢吹春奈、浜田ブリトニー、紫蘭まき、福地教光、岩井志麻子、吉川銀二、中島知子
キターーーーッ! あの『東京~ここは硝子の町~』の寺西一浩監督待望の新作、なんとモントリオール国際映画祭正式出品である。今度はゲイの結婚ものということなのだが、ともかく驚くような出来映えである。何がすごいって、これ照明使ってないんじゃないか?と思うくらい真っ暗な画面。そこで二人あるいは三人の人が棒立ちになって台詞を喋り、フェイドアウトして次の場面へ……というのがほぼ脈絡なくくりかえされるのでストーリーを把握するのも一苦労。前作はもうちょっと映画らしかったと思うのだが、加速度的にひどくなってないか? で、なぜこんな人が集まったのかさっぱりわからない微妙に豪華っぽいキャストの、すさまじく酷い「映画」で何を訴えたいのだろうかとつらつら考えるに……「田×真紀子の息子はゲイ結婚をしたい」ってことかな……
さて、弁護士マサルのところにIT企業社長トオル(福地教光)がやってくる。
「ぼくは結婚したいと思ってるんです……アキラと!」
「いや日本では法律的に……」
「法律ってのは人を守るためにあるんじゃないんですか! 傷つけるためにあるんですか!」
……と「そんなことオレに言われても……」的な文句をぶつけるトオル。トオルは「もう後悔したくない……」とかで、実は以前つきあっていたユウヤが道ばたで因縁をつけられたチンピラに集団レイプされ、そのことを口に出せないままベランダから飛び降りるという悲劇を経験していた(なんか『東京~ここは硝子の町~』にも同じような話があったような)のである。
そのアキラ(久保田秀敏)が家に帰ってくると、母親の国会議員中田真知子(中島知子)は誕生パーティの真っ最中だった。少子化問題担当大臣であるにもかかわらず、普通の家の居間で十人ばかりの「支援者」に囲まれてこじんまりとケーキの蝋燭を吹き消している。母親と折り合いの悪いアキラは部屋に引っ込んでしまう。そこへやってきたのがトオル。アキラの部屋へとあげてもらう……とさっそくセックスはじめる二人。トオルのことが気になっている妹春奈(矢吹春奈)は部屋のドアを開けて……!!
マサルは真知子の事務所で雇われることになる。
「なんであんたを雇ったかわかる? 優秀な弁護士ってだけなら掃いて捨てるほどいるけど、あんたはチャレンジド(難聴)だからね。弱者に優しいっていうわたしのイメージにプラスになるわけ!」
とぶっちゃけすぎるほどぶっちゃける露悪主義な真知子。金と権力の亡者と思われているよっしゃよっしゃな女性代議士……って、ちなみに監督の寺西一浩は『東京~ここは硝子の町~』のレビュウでも書いたように田中真紀子さんと親交があることで知られているのだが、それ以上のことはすべて偶然です! いいね、偶然だよ!
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