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柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『シンデレラゲーム』 毎回安い安いと文句言ってるけど、ここまで安い映画も本当に記録的レベル (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

 

シンデレラゲーム

監督 加納隼
原作 新井淳平
脚本 いながわ亜美
撮影 三木誠
音楽 塚田良平
出演 山谷花純、駿河太郎、吉田明加、春川芽生、佐々木萌詠、清水あいり、其原有沙、水木彩也子、阿知波妃皇

 

 

face地下アイドルのサナ(山谷花純)がある朝目覚めるとそこは絶海の孤島だった。首には金属製のチョーカーが巻かれている。まわりには同じような売れないアイドルが20人。あらわれたのは司会の男タキモト(駿河太郎)。

「これからみなさんにはゲームをしてもらいます。優勝者にはトップアイドルの座を約束します。敗者は……死んでいただきます! では、シンデレラゲームの開始です!」

またバトロワか……それにアイドルもからめれば地下アイドルもぞろぞろ出せて一儲け……みたいなネタかと思ったんだが、実際にはこの出演者、無名アイドルですらないようだ。製作はAMGアミューズメントメディア総合学院という専門学校(原作もここから出版されている)。『青鬼』とか『人狼ゲーム』とかもここの作品だ! あるいは安い「アイドル」を演じているのはここの「声優タレント科」の卒業生だったりするのだろうか。

 

 

さて、ここまで使い古しの設定を持ってくるからには、せめてゲームの中身くらいは少しは考えてきたんだろうな?

「この島の中にはカードが隠されています。三種類のカードを探して集めてください。「魔女」は「王子」に勝ちますが「継母」に負けます。そして「王子」は「継母」に勝ちます」

ただのじゃんけんじゃねーか! もちろん『カイジ』の限定ジャンケンみたいな戦略性があるわけじゃない。あ、特定条件で買えるオプションカードがありました。その能力は……秘密です!

ってこんなクソゲームに命をかけろっていうのかよ! 集められたのはサナと同じグループの親友エリナ(吉田明加)、無駄に色気を振りまくグラドルの菖蒲(清水あいり)、“リーダー”と呼ばれる涼花(佐々木萌詠)、ストーカーと化したファンに襲われて怪我を負ったと噂されるアイパッチの雪乃(阿知波妃皇)らタイプも動機もさまざまなはぐれアイドルばかり。サナは一年前に失踪した姉、サリ(水木彩也子)を追いかけるようにしてこの世界に入ってきたのだった。

お約束のように反抗してチョーカーに仕込まれた針で殺されるのが一名出たところでゲーム開始、サナはエリナと一緒にカード集めにいそしむうち、カードを奪われそうになっていたブリブリの少女りん(其原有沙)を助ける。最初のうちは「おねえさま!」と慕ってくるりんだが、サナの隙を狙ってカードを奪って逃げる。

「オバサン! りんは世界一かわいいんだからトップアイドルになるのよ! 悪く思わないでね!」

カード捜索タイムが終わると勝負。カードを一枚も持ってないサナは、いつの間にかたまっていたポイントを利用してオプションカードで「かぼちゃの馬車」を大量購入。勝負では当然のようにりんとサナとの対戦になって、りんは大量のカードを次々に出すが、すべてのカードと引き分ける「かぼちゃの馬車」の前にすべて打ち消されてしまう。てかこれって結局はじゃんけんなわけで、どんなに知謀を駆使してカードを集めても結局は運次第だというね。しかも「かぼちゃの馬車」さえ大量に持っていれば相手のカード切れを待って勝つことができるというこんな酷い勝負あるのか? そういうわけで、ひたすら受け身のままだったサナが勝利してりんは処刑。サナはなすすべもないまま見守るのだった。

エリナをはじめとするメンバーはみな生き残るが、“リーダー”は相手を殺したショックで頭がおかしくなってしまう。ちなみに宿舎は廃墟の一室にベッドと首つり縄がさがっているという酷いものでサナは吊られてる姉の姿を幻視したりする。それにしてもこの映画の安さときたら本当に記録的なレベルで、こしらえものは司会者の立つ台ひとつとネズミ男(助手)のマスクをふたつだけ。あとネズミ男が持っていて、仕掛けチョーカーを操作するするiPadが二台。これがほぼ美術と小道具のすべてである。これだけ用意して、あとは館山の海岸に女の子を集めて突っ立ってるところを撮るだけ。毎回安い安いと文句言ってるけどここまで安い映画も本当に……

 

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