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柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『土佐の一本釣り 久礼発 17歳の旅立ち』 第三回「ご当地映画祭」エントリー作品 ・・・まさに地方映画の闇案件 (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

 

土佐の一本釣り 久礼発 17歳の旅立ち

監督 蔵方政俊
脚本 井坂聡、森島大輔、蔵方政俊
撮影 安田圭
音楽 梅堀淳、五十嵐由美
出演 中島広稀、森永沙良、渡辺大、阿藤快、山田邦子、古村比呂、中越典子、河合龍之介、六平直政

 

face青柳裕介の同名コミックの映画化である。我々世代にとっては忘れがたい名作であるのだが、今となってはすっかり懐かしコミック扱いだろう。だがそれでも地元にとっては大事なものであるのだろうな……と思ったのだが、この映画はそんな甘い理由で「第三回ご当地映画祭」にやってきたわけではないのだった。そもそも本作が作られたのは2014年のこと。ところが撮影が一ヶ月遅れたうえに監督や主要キャストも交代するというトラブルつづき。どうやら実際の製作をうけおった制作会社にお金が支払われず、制作会社が交代するという騒ぎがあったらしい。 で、結局その替わった会社にも不払いがあったため、原盤が製作会社に引き渡されずにお蔵入りという顛末。中土佐町をはじめとする関係自治体にとっては協力したはいいが、自分と責任のないところでいつまでたっても完成せず……まさに地方映画の闇案件である。2016年末になってようやく制作費問題が解決したのか、渋谷ユーロライブでひっそり上映。そしてようやくシネマノヴェチェントのご当地映画祭へやってきたというわけ。

 

 

そういう経緯のせいなのか、キャストは無駄に豪華で、山田邦子に阿藤快(これが遺作か?)まで出演している。撮影もくすんだ色彩で統一し、昭和っぽさを出そうとロケも含めていろいろ頑張っている。高校中退の主人公をはじめ、男性キャラがみんな喫煙者というのも本来当然のこととはいえ、昨今の風潮的には立派だ。俳優陣、とりわけ中島広稀はなかなか昭和っぽいし、ちゃんと身体を張るのもポイント高い。ベンチに二人座って一人が立つとひっくり返るというギャグはさすがにくりかえしすぎだと思ったけど、純平の平手打ちを八千代が左手でガードしてパンチで返すというタイミングは見事で、そこは笑ってしまった。森永沙良のヒロインだけは今風の可愛い娘ちゃんで、もう少し純朴でもっさりしたところがほしかった。ただこれ原作とは時代を変えて、今の話になってるんだよね。だからこういう女の子でもいいといえばいいんだけど、一方でそれだとやはり根本的に無理がある。さすがに中卒で漁師になるのはいまどきおかしい(原作発表当時だってアナクロだった)とはいえ、それじゃないと成立しえない部分もあってですね……

 

 

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