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柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『箱入娘面屋人魚』 ここまで来ると公開する意味ってどこにあるんだろう。映画が万人に向けて解放されるというのはそういうことだよな (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

箱入娘面屋人魚

監督 秋原北胤
原作 山東京伝
脚本・撮影 落合雪恵
音楽 山路敦司
出演 宮川一朗太、石橋穂乃香、松田洋治

 

8/4 『皆殺し映画通信 地獄旅』発売記念イベント @渋谷 のお知らせ

 

faceまたしてもカエルカフェ映画である。カエルカフェ映画のなりたちについては『家』のレビュウでかなりくわしく説明した。つまり、著作権切れの文豪原作+旬をちょっと過ぎたタレントの組み合わせでそこはかとないメジャー感をかもしだす超低予算映画を作り上げるという手法だったのだが、最近ちょっと傾向が変わってきている。前作『忍性』はオリジナル作品。本作は山東京伝原作(まあ「著作権切れの文豪」と言えないこともないが)。次回作『レフトフライ』はなんとオリジナルの現代劇である。次回作まで決まっているというのがキモで、実は完成もしていない次回作のパンフレットがすでに売っているのである。どうやら撮影まではすでに終わっているらしく、たいそう効率のいい製作っぷりである。パンフレットを見ると毎回レンズ提供のトキナーやらたいへん怪しい水商売「ゼロ磁場の秘水」やらの広告が載っているので、どうやらそこらへんの援助で安い映画なら作れてしまうくらいのお金が集まってしまっているようである。まあ映画が万人に向けて解放されるというのはそういうことだよな……なお、関東圏ではもっぱら横浜のシネマ・ジャック&ベティでの公開になっているようで、次回作も横浜で公開予定。ただし公開中にすでにDVDも同時販売しているという恐ろしさ。ここまで来るともう映画を作って公開する意味ってどこにあるんだろうと考えてしまう。

 

さて、物語は山東京伝が寛政三年(一七九一年)に発表した黄表紙本の映画化である。乙姫の愛人として竜宮城で暮らしていた浦島太郎が中州の遊郭で遊女の鯉と恋に落ちる。だが生まれた子供は下半身が魚の人魚であった。美しく育った人魚はある日神田の漁師、平次に釣り上げられてしまう。驚く平次だったが人魚の美しさに惚れて家に連れかえり……というお話。楽屋落ちやら時事ネタやらがぽんぽん入ってくるゆるーい感じのストーリー、これをまあゆるーい感じのコメディ時代劇にしたのがカエルカフェ映画というわけだ。

浦島太郎(松田洋治)はある日海辺で子供にいじめられている亀を見つけ、子供に小銭をやって助けてやる。連れて行かれた先が竜宮城だが、浦島は乙姫ではなく鯉のお鯉の(渋谷美加)とできてしまう。鯉は子供を生むが、育てることはできぬと浦島は渦から地上に投げる。あわれ人魚の運命は……と思いきやあっという間に成長して美しい娘になった人魚(石橋穂乃果)である。漁師平次(宮川一朗太)の網にかかった人魚は

「わっちは人魚と申します」

 

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tags: カエルカフェ 宮川一朗太 山東京伝 山路敦司 松田洋治 町おこし 石橋穂乃香 秋原北胤 落合雪恵

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