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柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』 うん、おもしろくないということを除けば何も間違ってない。業界的思惑が合致した内輪ノリ利権ビジネス映画 (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団

監督・脚本・編集・声の出演 FROGMAN
出演 山田孝之、知英、安田顕、鈴村健一、松本梨香、犬山イヌコ、金田朋子

 

faceえー、映画を減点法で採点するなら、この映画は満点である。作者(監督・脚本・編集その他を全部こなしているFROGMAN)は求められているものを完璧にこなしており、その点には疑いの余地はない。問題は、その満点というのが何点満点なのかということである。百点満点で百点を取るのはたいへんだが、それが六十点満点なら? 満点をとっても四十点にしかならないとしたら? 二十点だとしたら? 二十点満点の映画を作る意味ってどこにあるのか?

業界の都合、それである。

さて、『サブイボマスク』のレビュウにも登場したDLEが本作の製作会社である。DLEはシネコンで映画本編前にかかる短編フラッシュアニメを製作し、映画観客に無理やり短編アニメを見せてキャラクターを認知させ、そのキャラクターを売りこむというキャラクタービジネスを行っている。まあはっきりいうと業界の利権ビジネス会社である。完全な抱き合わせ販売だと思うんですが、なぜ公取はあれを取り締まらないのか。ともかくその出世頭が「鷹の爪団」で、劇場用アニメはもちろんのこと、ついにDCコミックが誇るスーパーヒーローたちと日米共演を果たすことになったというわけだ。これはもちろん映画『ジャスティス・リーグ』の公開を控え、キャラクターの認知を少しでも高めようというワーナー側の思惑あってのことだろう。だが冷静に考えて、それは、無駄だろう。「鷹の爪団」の映画が『レゴ・バットマン・ザ・ムービー』のような傑作ではないから……ではない。結局のところ、『ジャスティス・リーグ』が日本でヒットするかどうかは、どれだけ宣伝費が投じられ、エピック・ムービーとして報じられるかにかかっているからである。バットマンやスーパーマンが人気だから、その映画を見に行くわけではない。実際、あの傑作『レゴ・バットマン・ザ・ムービー』はまったくヒットしなかったではないか!

そういった業界的思惑が合致した結果、ジョーカーとハーレー・クインは日本にやってきたのである。「鷹の爪団」の秘密兵器を求めて。ところで業界的利権構造によって作られている「鷹の爪団」にはいくつかお約束がある。画面の右肩には「バジェットゲージ」があり、映画が進むとどんどん減っていく。低予算映画である「鷹の爪団」では有名人がゲスト出演したり、派手なアクションがあったりするとたちまち予算を使い切ってしまう。ゲージがゼロになると話の途中でもいきなり映画が終わってしまうので、そういうときは途中でスポンサーが入る。すると「プロダクト・プレイスメント」と称してCMが入り「バジェットゲージ」が戻るのである。そういう業界内幕ギャグなんだから、そんなことに真面目に反応するのはセンスが悪い! ダサい! はいお説ごもっとも。だけどこういういかにも業界の内輪ノリがどうにも気持ち悪いのも事実である。で、事態はまさに恐れていたとおり徹頭徹尾業界事情で進んでいく。

 

 

さて、ジョーカーが何しに日本まで来たのかというと、実は「鷹の爪団」の秘密兵器を狙っていたのである。ヒーローのデラックスファイターに虎の子の資金をカツアゲされた鷹の爪団から、なぜかジョーカーにパシらされているペンギンが秘密兵器在庫をまとめ買いしたのち(「悪の秘密結社がそんなに簡単に見つかるわけないだろ!」「……あ、そこでバーゲンセールやってる」みたいなお約束がくりかえされる)、日本企業の機密情報をハックして持ち出し、アップロードして株価を暴落させ、空売りで大儲けというきわめて暢気な方法であくせく資金を作っていると、そこにジャスティス・リーグの面々がやってくる。ただしバットマンは抜き。面倒くさい性格のバットマンは、最近ジャスティス・リーグを抜けてしまっていたのである。

とはいえスーパーマン、ワンダーウーマン、アクアマン、フラッシュ、サイボーグとそろえばジョーカーの部下の戦闘員など一瞬で片付くはず。なのに余裕綽々のジョーカー。そう、ジャスティス・リーグの面々が(なんせジャスティス・リーグなもんで)まっとうなアニメで戦うと、いきなり予算を使い切ってしまうのである。ジャスティス・リーグの絵も落書きみたいに退化して、ジョーカーに攻撃を加えることすらままならない。高笑いするジョーカー。しかしおまえここまで笑う以外何もやってないぞ!

 

 

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tags: 安田顕 山田孝之 松本梨香 犬山イヌコ 知英 金田朋子 鈴村健一 FROGMAN

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