柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『新しい靴を買わなくちゃ』 監督/脚本 北川悦吏子

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新しい靴を買わなくちゃ

プロデュース 岩井俊二
監督/脚本 北川悦吏子
撮影 神戸千木
音楽監督 坂本龍一
出演  中山美穂、向井理、桐谷美玲、綾野剛、アマンダ・プラマー

face向井くんはセーヌ川のほとりで呆然と突っ立っていた。妹(桐谷美玲)に強引にパリまで連れてこられたのである。兄を幸運の神と信じる妹は何か勝負を賭けるたびに「お守りお兄ちゃん」を引っ張り回すのである。強引にタクシーをセーヌ川のほとりで止めさせた妹は「セーヌ川って大きいの?」「あそこで写真撮って!」「コンデジじゃなくてちゃんとしたので!」とまくしたて、向井くんがハッセルブラッドのセッティングをしている隙をついて、荷物を放り出して車を発進してしまったのである。ホテルの名前を書いたメモは妹が持っているので、どこへ泊まればいいのかもわからない。と、そこへ向こうから電話をかけながら歩いてくる女性がいる。どん!と向井くんにぶつかった拍子に、地面に落ちていた紙を踏んでずりっと滑り、思いっきりこけてしまった。「あっすみません。あの、それ……」「あっいや……見ないほうがいいです!」「いやわたしが踏んだんだし……あら!」それは向井くんのパスポートであった。女性のハイヒールでうまいこと擦られて、見事に写真ページがズタズタに破れていたのである。だが心配無用! 女性は日本人向けフリーペーパー編集者の勅使河原葵であった。「あ、名前難しいんで、“アオイ”って呼んでください」と名乗るみぽりんはすぐに日本大使館の場所と行き方を教え、じゃあ……と立ち去ろうとすると思わずこける? なんとヒールのかかとが取れていたのだ。「あ、ちょっと待って下さい!ここにアロンアルファが!」アロンアルファで踵をなおし、靴をそっと履かせてあげると「あら、ぴったり……あたりまえですよねあたしの靴なんだから」

なんなんだこの無意味な会話は……

 

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tags: 中山美穂 北川悦吏子 向井理 坂本龍一 岩井俊二 桐谷美玲 綾野剛

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