柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『エンド・オブ・ホワイトハウス』 オウンゴール炸裂!遠くの米軍より近くの特殊部隊なサスペンス [♪akiraのスットコ映画の夕べ]-3,351文字-

ポスタ- A4 パターンC エンド・オブ・ホワイトハウス 光沢プリント

 

エンド・オブ・ホワイトハウス(2013/米)

監督 : アントワーン・フークア
出演 : ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート

すっとこキャンプ・デイヴィッドでクリスマスを過ごす大統領(アーロン・エッカート)一家。シークレットサービスのマイク・バニング(ジェラルド・バトラー)は、ファーストレディのマギー(アシュレイ・ジャッド)と一人息子のコナーからも絶大な信頼を寄せられている。大雪が降る中、資金集めのパーティに向かうと、先導車の一瞬の油断から思わぬスリップ事故に! 後続の警備の車が次々と巻き込まれ、大統領の乗った車は橋の欄干をぶち破り、半分宙ぶらりんになった車内から大統領夫妻を救おうとしたマイクだったが、努力も空しくマギーは車と一緒に凍りついた河に落ちて行った。

痛ましい事故から1年半後、「君がいると妻を思い出す」という理由で大統領警護の任を解かれたマイクは財務省に勤務していた。以前の上司、シークレットサービス長官のジェイコブズ(アンジェラ・バセット)は、マイクが未だに事故のミスを引きずっていることを心配する。その日は大統領と韓国首相がホワイトハウスで緊急会談を行う予定だった。

韓国首相と警備責任者のカン(リック・ユン)らがホワイトハウスに到着して間もなく、国籍不明の輸送機がワシントン上空に現れる。追撃しようとした米軍機を返り討ち、ホワイトハウスを目指し地上に向かってガトリングガンを一斉掃射! 逃げまどう一般市民を百発百中で瞬殺! ホワイトハウスの警備隊が地上から迎え撃つが、容赦ない敵の攻撃に次から次へと倒れていく。邸内では大統領と韓国VIPら一行を、地下深くの危機管理センター(通称バンカー)に避難させるが、その途端、韓国側の警備員が全員北朝鮮のテロリストだったことが判明! 大統領の側近にするのに信用調査してないのか!?  米国側警備陣を皆殺しにし、大統領らを人質に取る。内部から手引きしたのは元シークレットサービスのフォーブス(ディラン・マクダーモット)だった。ショックの大統領に、「実はお前には投票しなかった」と言い捨てるフォーブス。ギャグ?

その頃、財務省でトロトロとデスクワークをしていたマイクは、窓越しに外の異常に気が付く。<遅いよ! 死屍累々の路上で銃を片手に反撃するが、実はそこら一帯のアジア人全てが一般人に変装した北朝鮮のテロリストだった! 観光バスや清掃車が一瞬にして武装した装甲車に変身。一方、軍隊の到着に時間がかかり、ホワイトハウスを守っていた警備隊の攻防力は風前の灯。だがしかし最後の勢いで地上から狙い撃ち、被弾した敵機はモニュメントに激突し、下にいた大勢の一般市民は哀れ瓦礫の山の下敷きに。このあまりにも景気が良すぎるジェノサイド感は一体…。

更にマイクが目にしたのはバックパッカーの格好をした自爆テロ要員2人。爆破でゲートを破壊し、次から次へとテロリスト達がホワイトハウス内に侵入。襲撃の知らせを受けペンタゴンに終結したジェイコブズとクレッグ将軍(ロバート・フォスター)。大統領と副大統領が人質に取られた以上、今や合衆国の最高権限保持者は下院議長トランブル(モーガン・フリーマン)となった。カンはペンタゴンに中継映像を送り、その場で韓国首相を射殺。即時に全警備体制を解除し、明け方までに、日本に停泊している第七艦隊の撤退と南北の軍事境界線からの米軍撤退を要求する。テロリストの目的は北朝鮮の韓国攻撃だった。フォーブスは祖国を裏切った理由を、大統領のせいでアメリカ経済が悪化したと箇条書きのように羅列。どう考えてもこの人の任期より以前から起きてることも言ってるんですが。それに対して頭突きで返す現職大統領。

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tags: アントワーン・フークア アーロン・エッカート ジェラルド・バトラー

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