柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『いのちの林檎』 リンゴもUFOもそっちのけ!地獄のホラー映画 (柳下毅一郎) -3,220文字-

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いのちの林檎

監督 藤澤勇夫
撮影 植田和彦、青木淳二
出演 木村秋則、早苗

文化庁文化芸術振興費補助

 

ico_yanwww_kisekinoringo_comさて奇跡のリンゴでおなじみ青森の無肥料・無農薬リンゴの作り手といえば木村秋則氏である。絶対に不可能と言われたリンゴの無農薬栽培を成功させるまでの執念の軌跡は『奇跡のリンゴ』で描かれているのだが、その素顔が登場するとあっては見ないわけにはいかないだろう。

映画は一面の雪景色の中、林檎の木に積もった雪をおろしていく木村の姿からはじまる。「ありがとう!頑張ったな!」と林檎の木に声をかけてゆく木村。森羅万象と会話ができるオカルトの王である。

「アメリカの人が来てね。きれいな山だなって写真を撮っていったの。岩木山をね。ただきれいだなってだけでね。そしてね、帰ってから写真を見たら……何が映ってたと思う?」
「なんですか?」
「未確認飛行物体」

出た! UFO出た! 実は木村氏と言えばUFOコンタクティーとしてつとに知られた存在であり、一説には林檎の話よりもUFOの話のほうが得意だとさえ言われる。さあUFO来るぞ! とわくわくしていたのだが話はそこまで。というかこの映画、実は木村氏の話でもなく林檎の話ですらなく、主人公は別な人なのだった!

舞台は川崎。オーガニック・コットンの袖無しワンピを羽織った化粧っ気のない三十絡みの長髪の女性が登場する。早苗は化学物質過敏症。同じく過敏症の母親道子とともに、無農薬でオーガニックな暮らしを続けている。食べられるのは有機野菜だけで、蛋白質も大豆からとっているのだが、市販の味噌や納豆は駄目だと大豆を潰して味噌を造る日々。家じゅうに壺が並べられる光景はあまりに異様だ。

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tags: グルメ ドキュメンタリー 文化庁文化芸術振興費補助 木村秋則 藤澤勇夫

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