『劇場版 謎解きはディナーのあとで』 日本のテレビ視聴者が求める漫画で馬鹿でIQの低い演出 (柳下毅一郎) -3,457文字-
監督 土方政人
脚本 黒岩勉
撮影 栗栖直樹
音楽 菅野祐悟
出演 櫻井翔、北川景子、椎名桔平、中村雅俊、桜庭ななみ、要潤、竹中直人、鹿賀丈史、宮沢りえ
2011年本屋大賞受賞の同名原作がテレビドラマ化されて大ヒット。ついに劇場版まで作られることになった。最初に断っておくが、ぼくは原作小説を読んでいないし、ドラマも一切見ていないので、これがどの程度原作のテイストを活かしているのはわからない。少なくとも物語については映画オリジナルらしいが。いずれにせよ、ベストセラー原作の映画を見れば見るほど日本のエンターテイメント小説を読む気がなくなっていく自分を誰が責められようか。東川篤哉氏には申し訳ないが、まあテレビ原作でさんざん売れたろうからいまさらどうでもいいよね!
主人公は日本を代表する大富豪の娘宝生麗子(北川景子)だが、一介の刑事として国立署に勤めている。じゃあ『富豪刑事 』か『俺の空 刑事編』か!?と思いきやそういうおもろいことはせず身分を隠して地道に勤めあげている。
彼女に仕える執事影山(櫻井翔)は麗子から事件の相談を受けると毒舌を交えながら快刀乱麻に真相を喝破する。麗子は影山のアドバイスで事件を解決しているのだが、その手柄はすべて中堅企業風祭モータースの御曹司である風祭警部(椎名桔平)の手柄にされてしまう。中途半端な富豪である風祭は麗子の正体を知らず、令嬢として着飾ってあらわれたときの彼女を中国人富豪宝生麗と思いこんで恋している。生麗のまわりをうろうろする影山は恋敵なのだ……というところまでがドラマ版の設定。
これ、すでにおかしくね? てかすでに漫画じゃね? それにふさわしくもう椎名桔平の妙なアクセントとかそういうバカっぽい演技が……いや、それは言うまい。日本のテレビ視聴者が求めているのはこういう漫画で馬鹿でIQの低い演出なのだろうからね。そうじゃなかったらこんなもんが大手を振ってまかり通るはずがないじゃないか。
そういうわけで、以下、とってもIQの低い展開が続きますが、みなさんついてきてください。
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tags: テレビドラマ 劇場版 北川景子 土方政人 宮沢りえ 小説原作 本屋大賞 東川篤哉 桜庭ななみ 椎名桔平 櫻井翔 生瀬勝久 竹中直人 要潤 金持ちのゲーム
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