柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『NMB48 げいにん!The Movie お笑い青春ガールズ!』 可愛くもなくいしおもしろくもなくてすいません(柳下毅一郎)-3,230文字-

FireShot Screen Capture #111 - 'NMB48 げいにん! THE MOVIE お笑い青春ガールズ!' - nmb48_com_geinin-movie

 

NMB48 げいにん!The Movie お笑い青春ガールズ!

監督 内田秀実
脚本 松田裕子
撮影 水梨潤
出演 山本彩、渡辺美優紀、横山由依、小笠原茉由、ケンドーコバヤシ、田中律子、丘みつ子

 

ico_yan AKB48がらみの物件でほとほとうんざりさせられるのは、どれもこれもひどく貧乏たらしいということである。国民的アイドルと言われる物件がこれほど貧相だというのは、日本社会そのものの貧困をあらわしているのではあるまいか。とまでは言わないものの、「そこそこ」程度の娘が低予算の映画できゃっきゃ言ってるのを見てると、いろんな意味で心が寒くなるのである。で、NMB48。これは国民的アイドルとまではいかなくて、全大阪的アイドル? となるとさらに貧乏な感じになって、どこかの学校を借りたロケ以外はほぼスタジオにドンキで買ってきたような小道具を並べただけの「部室」でドタバタをくりひろげてるという……安い……これが日本のエンターテインメント……

さて、関西有数のお嬢様学校「なんば女学院」にはお笑い部があり、部長山田菜々を筆頭にした部員たちは日々お笑いの研鑽に励んでいる。本作はもともと日本テレビ系で放映されていたテレビ・バラエティの映画化で、吉本興業製作。ところでぼくは吉本こそが日本のテレビをつまらなくした元凶だと思っている。吉本がのさばりはじめる以前は、奇怪なお笑い至上主義のような文化など存在しなかった。今ではボケと突っ込みのベタな漫才だけが大阪の笑いだと関西人までもが信じこんでしまっている。

これもそんな漫才至上主義にとらわれた世界なので、女子高生たちはボケと突っ込みに別れて漫才をしている。エースの山本彩と親友の横山由依はコンビを組んで漫才。別に何も面白くないが、そんなことを気にしているのはぼく一人なのでどうでもいいのである。そこへ東京から転校してきたのが渡辺美優紀。東京ではミルキーのあだ名で読モもやっていた超美少女の人気者なのだ(という設定なので……)。そんな渡辺、なぜかお笑い部に入部を希望する。みんな歓迎する中で、なぜか山本だけは反発する。

「なんであんたみたいなのがお笑いやろうとするわけ?」
「可愛かったらお笑いやったらあかんの? モテ服着て漫才やったらあかんの?」

 じゃあ、実力を試すためにモノぼけだ! モノぼけとは、何かのモノを渡されて、それをネタにボケてみせること。たぶんテレビ番組でやってるネタなのだろう。渡辺美優紀は三角定規かなんか持って

「わたしは今、方向性に迷ってます」

 って面白いかそれ!と思うのだがそんなことを気にしているのはぼく一人……と言いたいところなのだが、ぼくが見た日、ほぼぼくと同じように感じていた観客が約一名いたらしく、途中から盛大にいびきをかいて寝はじめた! 普通ならいらつくところなのだが、この映画の場合だとむしろありがたい。あまりにつまらないギャグを聞かされたあと一瞬の静寂をやぶるいびきの見事な突っ込みに思わず吹きだしてしまうことすらあった。まあしかし最初から最後までほぼ一貫していびきだったあの人、何しに来てたんだろうなあ。

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tags: AKB48 NMB48 ケンドーコバヤシ 内田秀実 吉本興業 山本彩 横山由依 渡辺美優紀

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