柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『貞子3D2』 アプリはいい仕事・・・でもごめんね貞子、電話に出れなくて -(柳下毅一郎) -3,489文字-

FireShot Screen Capture #030 - '映画『貞子3D2』公式サイト' - www_sadako3d_jp_index_html

 

貞子3D2

監督 英勉
脚本 保坂大輔、杉原憲明
音楽 川井憲次
出演 瀧本美織、瀬戸康史、平澤宏々路、石原さとみ、大沢逸美

ico_yan リング [DVD] すでに『リング』のことなど誰も覚えていないところまで来てしまった『貞子3D』のさらに続篇が登場。この映画、何が話題ってスマ4D上映。上映中にスマートフォン(iPhone、Android)をつけたまま、映画と連動したコンテンツを送り込むといういまだかつてなかったシステムでの上映である。このギミックまるだし上映を体験しない手はないだろう、というわけでさっそく行ってきた。

スマ4DはiPhone、Android用のアプリをダウンロードしておき、それを上映時間のあいだ起動させておいて、スクリーン上で何か起こるたびに画面が反応するというシステムである(途中でアプリを落とし、再起動しても同期は続いたので、同期するための音か何かが映画のほうに仕込まれているらしい)。

IMG_5750これ、単に悲鳴が聞こえるとかそんなレベルだろうと思っていたのだが、アプリの作り込みはたいしたもので、しっかり画面と連動している。今何分経過かを「感染率」として表現するのは元より、スクリーン上で登場人物が電話を受ければスマホに電話画面が表示され、通話相手の言葉が流れだすとか、スクリーン上で登場人物が見ている写真がスクリーンには映らずスマホにだけ表示されるとか、スマホ抜きでは理解が追いつかない部分まである(通常3D版は冒頭の田口浩正によるガイダンスも存在しないはずなので、上映時間も違うし編集自体も一部変わっているはずである。公式の上映時間はどういうことになるのだろうか)。画面に向かって悲鳴をあげさせ、それを録音しておいてあとで聞かせるとか、まさしくウィリアム・キャッスルばりの仕掛け。このアプリ作った人まこといい仕事と言わざるを得ない。あまり応用が効きそうもないシステムなので、他の映画で使われるかどうかわからないのだが、見世物映画の現在形として高く評価したい。それにしてもスマホに向かってきゃあきゃあ騒いでいるおっさんも相当見苦しかったと思うが、それ以上に隣で見ていた(映画館は残念ながら閑古鳥が鳴いていた)スマホなど持って居なさそうなおっさん、こっちのことをどう思っていたのか……

雨の夜、病院で赤ん坊が産まれる。「あの子が生まれた……」と空に向かってつぶやく女性。それから五年がたった。お菊人形ルックの少女凪(平澤宏々路)は順調に幼稚園でも虐められっ子に育っていた。出産時に母親が死んだので、叔母の風子(瀧本美織)に育てられているのだが、何を言っても無言でクレヨンのスクラッチで不気味な絵を描きつづける凪には風子も困惑気味。ちなみに父親(瀬戸康史)は病院で警備のアルバイトをしている。あ、これなんですかまさかと思ったが『貞子3D』のストレートな続篇。誰もあんなもののストーリーなんか覚えてないよ(貞子がクモみたいにちょこまか走りまわることくらい)! そう瀬戸康史は前作のヒロイン茜(石原ひとみ)の恋人。前作、貞子が世に出るために肉体を狙われていたのが茜である。というわけでその子供である凪が貞子の生まれ変わりなんじゃないかという恐怖になるわけなんですね。

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tags: ギミック ホラー 保坂大輔 大沢逸美 大西武志 川井憲次 平澤宏々路 瀧本美織 瀬戸康史 石原さとみ 英勉

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