柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『劇場版テレクラキャノンボール2013』 -そこには人生がある。天才AV監督とカンパニー松尾、初の劇場作品。(柳下毅一郎) -2,618文字-

テレクラキャノン

 

『劇場版テレクラキャノンボール2013』

監督 カンパニー松尾
出演 神谷まゆ、新山かえで、カンパニー松尾、バクシーシ山下、ビーバップみのる

ico_yan今回は18禁とさせていただきます。お子様はお帰りくださいね。

『テレクラキャノンボール』のはじまりは1997年、今から15年以上前のことである。「キャノンボール」とはかつておこなわれたアメリカ大陸横断非公認自動車レース“キャノンボール・ラン”(およびそのレースをモチーフにした映画『キャノンボール』)のこと、「テレクラ」とはかつて猖獗をきわめたテレフォンクラブ(男性が小部屋にはいって、女性からかかってくる電話を待ち、早取りで取った相手と交渉してあわよくばホテルへ……という男女の社交場)のこと。テレクラの早取り競争、そしてそのあとの口説きがゲーム感覚で楽しめるというので、これ自体をレースに見立てたのがテレクラキヤノンボールであった。地方まで車で移動してはテレクラで口説き。主催者はハメ撮りの中興の祖にしてテレクラマニアのカンパニー松尾。もともと地方に出かけては素人とハメ撮りする〈私を女優にしてください〉シリーズや『燃えよテレクラ』といった作品を撮っていただけに、それをレース化するのは自然な発想だった。競争にしたおかげで男の意地とロマンとエロはこれ以上なく燃え上がり、レースは空前の盛り上がりを見せる。シリーズは三本作られたのち、2009年テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ として復活。第五回の今回はついに劇場版として映画公開されるにいたった。天才AV監督として知らぬ人なきカンパニー松尾、初の劇場用作品ということになる。

さて、レース参加者は6名。カンパニー松尾とV&R時代からの盟友であるかつての社会派AV監督バクシーシ山下、ナンパの名手ビーバップみのる、松尾の会社HMJMの若手監督タートル今田、梁井一、h.m.pの社員監督嵐山みちるという面々である。この六人がそれぞれ得意技と裏技を駆使し、できるだけ早く、可愛い女の子と、凄いセックスをこなすかを競いあう。男として、いや雄としての面子をかけた競争なのである。

レースは東京から札幌まで。車でスピードを競うRUNステージと、テレクラやナンパでセックスをして(ビデオに撮らせてくれる)素人を探すSEXステージ。全5ステージ一週間の行程である。ビデオ版は全10時間なのだが、この劇場版では最後、札幌でのSEXステージ2ステージが中心に紹介される。

 

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tags: アダルトビデオ カンパニー松尾 バクシーシ山下 劇場版 新山かえで 沖縄国際映画祭 神谷まゆ

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