『グランドピアノ 狙われた黒鍵』 音を一つでも外したらお前は死ぬ・・・というコメディでどうでしょ [♪akiraのスットコ映画の夕べ]
『グランドピアノ 狙われた黒鍵』 (2013/スペイン)
監督 : エウヘニオ・ミラ
出演 : イライジャ・ウッド、ジョン・キューザック、ケリー・ビシェ
久しぶりに正統派なスットコバカミス映画。いまどきこんなのが作られてると知って目頭が熱くなりました(いろんな意味で)。
どう見ても貧乏学生かただの胃腸の弱そうな人にしか見えないトム・セルズニック(イライジャ・ウッド)は、実は超絶技巧を持った伝説のピアニスト。神経質な彼は、5年前にステージ上で演奏ミスを犯して以来、人前で演奏することはやめていた。しかしハリウッド・スターの妻エマ(ケリー・ビシェ)の後押しで、恩師だった天才作曲家ゴーダルーの追悼公演でカムバックを果たすことに。冒頭、移動の飛行機でヨレヨレになったトムと、ゴージャスな嫁の電話やりとりによると、空港到着がギリギリで、ホテルに寄ると間に合わないので直接会場に…ってなるんだけど、そんなに神経質ならせめて前日に来いよ! しかも着替えもリムジンの中って、どんだけギリギリに来てるんだ。ガンズ&ローゼズじゃないんだから遅れたらまずいだろ! いやガンズだってリハーサルとかするんじゃ? てかこれクラシックでオーケストラ付きなんですけど、リハ無しってマジすか!?
と、しょっぱなから主人公のゆとり人生に不安になるが、余裕なヨメはクラシックとは全く縁もゆかりもないセレブ好きな友人夫婦のKYなふるまいをかわしつつ、夫の到着を待っていた。やっとたどり着いたトムは、長い付き合いの指揮者に励まされながらも、楽団員たちの冷たい視線を浴びまくり。ただでさえそんなピリピリした雰囲気の中、引きこもり生活の元凶となった、ゴーダルーの曲中最大の難曲『ラ・シンケッテ』をちゃんと弾くことができるのだろうか…と観客の誰しもが思うが、実はその程度のジャマは序の口だった!
ついに開演。ぼーっとしたあまり楽屋に忘れた楽譜を雑用係の男に渡され、この日のためにわざわざ運ばれてきた恩師のグランドピアノでトムは演奏を始めるが、譜面をめくっていくとガサツな赤ペンの書き込みが!
「音を一つでも外したらお前は死ぬ」 ガーン!!!!!<予想される脳内の音
普通の人でもこの時点で固まりそうなのに、舞台恐怖症の超神経質君に、こげな逆効果な警告文! しかしそこはやはりプロなのでしょうか。ビビりつつも演奏を続けるものの、次々に「お前を見張っている」だの「助けを求めたら妻は死ぬ」だのとダメ押し。さらに手には赤いレーザーポインターが! なんとか一部を終えて楽屋に飛び込み、指定通りにイヤーレシーバーを装着してステージに戻ると、「嘘じゃない証拠」として、サイレンサー付のライフルで足下に銃弾を打ち込まれた。
桟敷席にいるヨメにもレーザーが当たっているため、必死に演奏するトム! しかしひっきりなしに耳元に脅し文句を畳み掛ける犯人(と律儀に会話するトム)! いやそれどう考えても演奏のジャマなんですけど!! ていうか音外して欲しいわけ? この時点ではまだ犯人の目的がわからないので、「かつてゴーダルーの弟子だったが何かの理由で破門になった奴が犯人で、愛弟子のカムバックをジャマしているのでは」なんて好意的に思った私がバカでした・・・。
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