柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『女子ーズ』 福田雄一監督新作が二週連続で封切り!日本の知的退廃はどこまで進むのか!? (柳下毅一郎) -4,438文字-

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女子ーズ

監督・脚本 福田雄一
撮影 吉沢和晃
出演 桐谷美玲、藤井美菜、高畑充希、有村架純、山本美月、岡田義徳、佐藤二朗

26世紀青年 [DVD] ico_yan福田雄一監督新作が二週連続で封切り! いったい日本はどうなっているのか。福田雄一作品を見るたびにぼくが思うのが『26世紀青年』(Idiocracy)の世界である。知的退廃がこのまま進んでいけば、本当に福田雄一的笑いしかない世界がやってくるのかもしれない。そんな恐ろしいディストピアに思いを馳せざるを得ないこの状況。そして映画館に行ってみると、今週の新作は先週の薔薇色のブー子よりはるかに全然酷かった! マジで「イディオクラシー」進行しちゃってるよ! どうなるんだよ日本!

さて、東京郊外の採石場、特撮もので怪人と正義の味方が戦うときにはなぜか必ず移動するあそこに立っている怪人ワカメヌルンと対峙するのは制服にヘルメット姿の女子たち。リーダーのジョシレッドを筆頭に、ジョシイエロー、ジョシグリーン、ジョシネイビー、五人揃って……いや揃ってないぞ。揃ってないとポーズできないし。

「ちょっと待ってね怪人」

と断って携帯を取りだし、ブルーに電話をかけるレッド。

「ちょっと!怪人来てるんだけど!なんで来ないの?」
「あ~ごめん。起きたら睫毛ごっそり減っててさ、マツエクはじめちゃって~」
「何言ってんのよ。マツエクなんてどうでもいいでしょ!」
「でも人前に出るならちゃんとした恰好したいし~怪人さんもそう思うでしょ?」
(怪人)「どうでもいい!早くしろ!」
「五人いないと必殺技も使えないのよ。あんたマツエクと怪人倒すのとどっちが大事なのよ!」
「ん~マツエク?」
(一同)「え~!」

てな調子でまあいまさらなのだがこいつは戦隊もののパロディで、普通の女子が戦隊をやるというギャップで戦隊もののお約束を笑うパロディ……と言いたいところだが、いわせてもらえば戦隊もののパロディなんて、それこそゴレンジャーが登場したころからすでにあった。ぼくがオタクだったころから百万回やられつくしてるわけで、いまさらやるからにはそれなりのアイデアなりなんなりがあるんだろうな福田雄一! まさか「いまどきの女子が女子力で戦隊もののお約束をぶっちぎっちゃうのとかどうかな?」ってそれだけで映画一本作ったりそんなことはないよな? な?

 

ある日、五人は謎の男チャールズ(佐藤二朗)に呼び出される。というか、いずこともしれぬ場所に召喚される。左手に猫の手人形をはめて、猫を抱く黒幕風の恰好をしているチャールズ。

「あ~実は地球を侵略してくる怪人がいるのね。で、それを人知れず撃退してる戦隊があるわけ。で、任期があるんで交替することになったんだけど、今度、きみたちにやってもらうことにしたから、よろしく!」
「え、どういうことですか! なんでわたしたちなんですか!」
「いやあ、たまには女子も面白いかなって思って……」
「え、じゃあ適当に選んだだけなんですか?」
「いやいやそんなことないよ。ほら、レッドはすごく真面目でしょ。だからリーダーにぴったり」
「じゃあわたし(グリーン)は?」
「あー、きみは……ほくろがね。すっごくいい位置にあるから」
「いい位置ってどれですか? 三つありますけど」
「えー、三つ? えーと……」
「やっぱり適当なんじゃないか!」
「実は名前がね、赤木、青田、黄川田って色がついてるでしょ、だから……」

そういうゆるーい感じ。これがオフビートな笑いって奴だよね。特に設定も決まってないし怪人がなんなのかも「チャールズ」が何者なのかも地球侵略がなんのことなのかも例の採石場までワープする理屈も何もわかんないんだけど、そういうことを突っ込んでもしょうがない。そういうことを考えずに「ゆるーい感じ」を楽しむのが……「イディオクラシー」への道……
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tags: 佐藤二朗 山本美月 有村架純 桐谷美玲 福田雄一 藤井美菜 高畑充希

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