柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『寄生獣 完結編』 「キャハハハ」と笑う殺人鬼!こいつが出てきた時点でああ山崎映画か…(柳下毅一郎) -2,470文字-

FireShot Screen Capture #013 - '映画『寄生獣 完結編』公式サイト' - kiseiju_com_index2_html

 

寄生獣 完結編

監督 山崎貴
脚本 山崎貴、古沢良太
撮影 阿藤正一
音楽 佐藤直紀
出演 染谷将太、橋本愛、深津絵里、阿部サダヲ、大森南朋、國村隼、浅野忠信、ピエール瀧、北村一輝、新井浩文

 

face前篇に引き続いての『寄生獣 完結編』。前作、ぼくは普通に「……」みたいな感じだったのだが、世間では結構評判も良くて、「山崎貴嫌いだからためにするためにけなしてる」「ハリウッドの文芸大作だってこんなもんだ」(でもそんなにけなしてないよね、実は)みたいなことを言われて「ふうん世間的には映画ってこの程度でいいのか……」と思い至った次第である。てかね、これ2本になってるから気づいてないのかもしれないけど、前後編であわせて4時間半もあるわけで、4時間半もあったらかなりのストーリーを語れるよ?『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ぐらいの長さだよ? ま、それはさておき、前作のレビュウで「こちらのほうはラスボスが浅野忠信という時点で底抜けほぼ確定なので、刮目して待て!」と書いたわけだが、さて実のところはどうだったのか。

 

 

物語は前篇の続き、というか前篇でのストーリーをまとめてゆくだけ。以下粗筋。もっとも頭のいい寄生生物田宮(深津絵里)はジャーナリスト(大森南朋)を色仕掛けで操って新一(染谷将大)の様子を探らせている。だが、新一はほどなくジャーナリストの存在を知る。ジャーナリストは新一から、田宮が寄生生物であり、広川(北村一輝)市長の下で寄生生物都市を造ろうとしているのだと教えられる。馬鹿にされたと奮起したジャーナリストは広川への直撃取材を試みるが、その行為はただちにバレて(やっぱ馬鹿なんじゃん!)、寄生生物の報復により娘が殺されてしまう。ジャーナリストは復讐のために田宮の赤ん坊を誘拐して彼女を呼び出す。一方、警察は特殊部隊による広川(北村一輝)率いる市役所殲滅作戦を敢行するが、その前には立ちふさがるのは最強の寄生生物後藤(浅野忠信)なのであった。

という具合でほぼストーリー的には原作のダイジェストとして進んでいく。前篇がホラーだとしたら今度はアクションということになるのだろう。ストーリーは原作のままなので、問題は演出と演技ということになる。演出面でいちばん気になるのは音楽で、もう最初から最後まで音楽が鳴ってて、それもとりたてて前面に出てくるでもないBGMレベルの音量。ショッピングモールのBGMじゃないんだから、絞るところは絞ってくれても一向にかまわないのだが。

今回、驚いたのは染谷将大が普通に見えたことである。いつも馬鹿みたいな演技してるんだが、今回はセリフが少なかった分、だいぶマシだった。要するに悪いのは馬鹿みたいなセリフを割り振って、ひたすら説明役にさせてしまう脚本家と演出家のほうなのだな。この映画でも

ミギー「夢だと思って忘れてくれ」
新一「夢だって?忘れられるわけねーだろ!」

 みたいな白痴的なやりとりがあって、ミギーとの会話がはじまるとたちまちIQ0メートル地帯に落ちていってしまうので、まこと映画は馬鹿にもわかるように作らなければならないというイデオロギーは罪深いと思わずにいられない。

 

 

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tags: キャハハ ピエール瀧 佐藤直紀 北村一輝 古沢良太 國村隼 大森南朋 山崎貴 新井浩文 染谷将太 橋本愛 浅野忠信 深津絵里 阿藤正一 阿部サダヲ

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