柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『コンビニ夢物語』 元参議院議員「ぶってぶって姫」姫井由美子がコンビニ問題の専門家となって原作・製作総指揮!(柳下毅一郎)

コンビニ夢物語

監督 松生秀二
原作・製作総指揮 姫井由美子
脚本 折原悠
撮影 岡田主
音楽 福原善勝
出演 篤海、文音、秋本祐希、佐藤二朗、藤吉久美子、石倉三郎、仁科亜季子、中村ゆうじ

 

コンビニ改造論 face 原作・製作総指揮姫井由美子! そう、かつて民主党旋風が吹き荒れた2007年参議院選挙で岡山二区から自民党片山虎之助氏の対抗馬として出馬、「姫の虎退治」のキャッチフレーズで見事当選を果たすもののその後元恋人から嫉妬まじりのスキャンダルを暴露され「ぶってぶって姫」として有名になってしまった元参議院議員! その後何をしてるのかと思ったらコンビニ問題の専門家として小説を書き、それが映画化されたという次第である。もちろん地域興し映画ということで兵庫県香美町発(岡山じゃないのかよ!)。姫、地域興し、コンビニごときが夢、そしてヒロインは長淵ファミリーともうネタ要素だけでおなかいっぱい。しかし「コンビニ問題」ってコンビニ経営上の問題なのか、コンビニによる地域コミュニティへの影響なのか、何が問題なのかさっぱりわからないところが姫っぽいな……と思っていたのだが、映画を見たらもっとわからなくなったぞ!

 

 

さて、舞台は日本海に面した兵庫県香美町。温泉もあり岩場の海岸も景勝地として知られる。そこで酒屋をいとなむ坂上幸造(石倉三郎)と、従業員として働く美香(文音)。美香は実は幸造の息子幸一(篤海)の幼なじみで元恋人だった。だが幸一はある日家を飛び出し、東京に行ってしまったのである。そんなある日、幸造が配達の運転中にわざとらしく「うう……」と胸の苦しみを訴えながら倒れる。美香は東京の幸一に連絡する。

東京でコンビニの店長をやっていた幸一、戻ってくると開口一番、

「酒屋なんかつぶして、コンビニにすればいいんだよ。いまどきコンビニもない町なんて」

 幸一は飲んだくれて母の死に目に会えなかった親父と、母の命を奪った酒屋という商売を憎んでいるのだった。気持ちはわかるけど今はやめて……と頼みこむ美香。だがそこにやってきた女が

「もう~勝手に行っちゃうんだもん。追いかけたけど一本違いだったみたいね~」

 彼女こそ空気を読めない女京子(秋本祐希)である。「幸一さんとおつきあいさせていただいてます~」と美香のいちばん言われたくなかったことを言い出す年上美女はいい年の娘(渡辺恵伶奈)まで連れている大年増。

「わたくしコンビニチェーンの経営指導をやっております。つきましては……」
「京子、そういうことはオレが言うから……」
「あなたの言ってた場所見てきたけど、場所はよさげだけど建物は建て替えないと無理ね~1000万円くらいかかりそうだけど、なんならあたしが離婚した前の夫から慰謝料で取ったお金があるから、それ使えば……
「いやオレにも考えがあるから!」

 とこれだけ不快な人間はいないというくらいの出しゃばりっぷりを発揮。いや、これ一応コンビニ映画なわけで、コンビニを推進する側がここまで不快な邪魔者に設定されているのはどういう意味なのか。ちなみにこの映画の地域観光パートは幸一が彼女を名所旧跡や温泉宿に案内するというかたちで盛り込まれております。

 

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