柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『パーティは銭湯からはじまる』 〜世の中にはなぜ作られたのかわからない映画というものが存在する :柳下毅一郎

『パーティは銭湯からはじまる』

監督/編集 松田圭太
脚本 ビーグル大塚
撮影 吉田豪毅
出演 徳山秀典、須賀貴匡、高野八誠、佐藤永典、波瑠、宮川一朗太、斉藤洋介

face世の中にはなぜ作られたのかわからない映画というものが存在する。

いったい誰が見ると思って、こんな映画を作っているんだろうか? いくら考えてもわからない。ある種の公共事業のように、一度決まってしまったら誰にも止められないまま完成してしまったりするのだろうか? いったい誰がこんな映画を見ると思ったんだろう?

ここにあるのもそんな映画である。これ、原作があるわけでもないし、監督が知られているわけでもない。主演の徳山秀典は、よく知らないが仮面ライダーとか戦隊ものとか出ている、特撮イケメンアイドルらしい。ミュージシャンとしても活躍しているそうで、この映画のエンディング・ソングも歌っている。つまり徳山のアイドル映画なのか? イケメン四人組が何度も銭湯に入る場面が登場するってことは、やはり女性客へのサービス? こちらの知らないところで、女性客に大人気だったりするんだろうか?……と思ったが、レイトショーの客は十人足らずで、そのうち三人はじいさんの一人客(オレ含む)だった。いったい、誰のために作ってるんだ?

花島(徳山秀典)は元イケメンカリスマゲームデザイナー、5000万本を売り上げるという国民的人気TVゲーム「風の伝説」を作った男だが、今はゲーム業界を離れて(「オレがヒットを飛ばしたのに、当たったら即座に後輩に続篇をやらせる。そんなゲーム業界はクソだ!」)実家の銭湯でぶらぶらしている。

今日は二月二十九日、記念すべき三十回目の誕生日だ。誕生日には行きつけのバーのマスターに合コンの仕切りを頼んだ! 同じく独身貴族を横溢するダチたちと四対四の合コン。今日こそは決めてやる!とみんなして銭湯で体を磨きあげるのだ。

仲間とはトレーニングで全身筋肉に鍛え上げた脳筋男トリタニ(高野八誠)、ファッションにも今の話題にも強いモテ男カザマ(須賀貴匡)、金持ちのぼんぼんツキノ(佐藤永典)。彼ら四人が全裸でキャッキャウフしてる場面からはじまる。おたがいで洗いっこしちゃったりしてもうこの……

バーにつくと一人横に呼ばれた花島はマスター(宮川一朗太)から「ごめん女の子足りなかったんで一人オレの女房入れといた。口説いても無駄だから!」と耳打ちされる。「え、どれが?」「あー見ればわかるって」「え」という間もなく合コンがはじまり、三人がそれぞれの芸を見せて馬鹿うけ、主役になるはずだった花島は肝心のゲームネタでも滑ってあかん……と思って気がつくといちばんの可愛い娘ちゃんを残して仲間は消えており、ある意味ラッキー!と思って酒をあおるとそれがスピリッツでしかもその可愛い娘ちゃんがマスターのかみさんだと判明してドツボ! ばったり倒れて気がつくと彼は銭湯にいた。今日は二月二十九日、記念すべき三十回目の誕生日だ!

 

 

443f2910ab9081e6c5fb7aa8c00ee84d2

(残り 1864文字/全文: 3083文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

tags: 宮川一朗太 徳山秀典 戦隊 斉藤洋介 松田圭太 波瑠 特撮 須賀貴匡 高野八誠

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック