柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『エンド・オブ・キングダム(2016/米)』 全英国民にケンカ売るレベルの恐ろしき設定! どんだけザルな危機管理なんだよ!(♪akira)

 

エンド・オブ・キングダム(2016/米)

監督 : ババク・ナジャフィ
出演 : ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、モーガン・フリーマン

 

a04118f84dfeab9445d074c8a49bfc8a2ウルトラスットコ映画エンド・オブ・ホワイトハウスの続編。監督はアントワン・フークアに代わり、イラン生まれのスウェーデン人、ババク・ナジャフィ。

北朝鮮テロリストチームの奇襲(オウンゴール含む)により、ホワイトハウスが文字通り崩壊してから2年。スパルタ感満載の殺傷能力を持った元特殊部隊員マイク・バニング(ジェラルド・バトラー)の活躍により、奇跡的に助かったアッシャー大統領(アーロン・エッカート)は、警護の任務に復帰したマイクとともに毎日仲良くジョギングに励んでいた。マイクは第一子の誕生を目前にして、危険なシークレット・サービスを辞職しようと思いつつもなかなか決心がつかなかった。

実はホワイトハウス襲撃と同じ年、中東の武器商人アーミル・バルカウィ(アロン・モニ・アブトゥブール)の邸にアメリカ軍のドローン攻撃が仕掛けられた。娘の結婚式が爆撃され、バルカウィは残った息子2人と復讐を誓う。

ホワイトハウスに入った緊急連絡は、イギリス首相の訃報だった。警護の準備が間に合わないため、葬儀が行われるロンドン行きを止めようとするシークレット・サービス長官リン・ジェイコブズ(アンジェラ・バセット)の意見は無視され、大統領とマイクら一行はイギリスへ向かった。

前回のヒットで格段に予算が増えたとみえるこの続編。そのせいか、これでもかと怒涛の空撮シーンが続出するので空撮マニアの皆さんはとりあえず必見!!

 

 

葬儀に出席のため、世界各国から要人がロンドンに続々と到着するが、同時に大規模テロ攻撃が開始される。まずは妻を伴ったカナダ首相(来日時に話題沸騰だった本人よりだいぶ落ちるルックス)のリムジンが爆発。それを皮切りに、橋の上で渋滞に巻き込まれていた日本の首相(村山富市系)は、トラックに乗った自爆犯の攻撃で橋が落ち、車がテムズ川に墜落!(ていうか、国賓が普通道路で渋滞ってどうよ!) ウェストミンスター・アベイの塔から若いヨメと景色を見ていたイタリアの首相は、塔ごと爆撃を食らって即死。テムズ河畔にマイボートを停め、葬儀に遅刻する気まんまんで追憶に浸っていたフランスの首相も、スナイパーの標的に。バッキンガム宮殿前の衛兵交代式を見学していたドイツの首相(ちゃんと中年女性)に至っては、衛兵と警備の警官に扮していたテロリスト一味に見学者もろとも蜂の巣にされるという、まさにファイナル・デッド・サミット!

つまり英国王室、英国軍、英国警察、英国情報部、さらには救急隊員に至るまで、すべての組織に大量にテロリストが潜入して(か、コスプレですり変わられて)いたという、全英国民にケンカ売るレベルの恐ろしき設定! どんだけザルな危機管理なんだよ!!!!!

当然、アメリカ大統領一行にもテロリストの手が伸びていた。葬儀が行われるセント・ポール寺院に到着したマイクらの前に重武装したワゴン車が現れ、テロ警官もアメリカチームに向けて一斉に銃を撃ち始めた! 激しい銃撃戦の中、大勢の一般市民を巻き添えにしつつ、車で逃走するマイクたちを追うパトカー。道路を逆走し、数々の歴史的建造物を破壊しながらハコ乗りで銃を撃ちまくるマイク! 得意な必殺頭部攻撃のおかげでなんとか自国のヘリまで逃げ切った大統領一行だったが、遂にヘリまで撃墜される。

留守を守る副大統領トランブル(相変わらず座ってるか立ってるか説教してるだけのモーガン・フリーマン)らはドローンの映像を見ていたが、大統領のヘリコプターが墜落した映像を見て大ショック。操縦士とリンは死亡し、生き残った大統領とマイクの愛の逃避行が始まった! ここから二人のイチャイチャぶりが炸裂。実は前作の冒頭、ファーストレディが事故で死んだ時に大統領がシークレット・サービスのマイクをクビにしたのは、彼の存在が妻を思い出させて悲しいからという理由だったんですが、それって実は大統領はマイクと密かに浮気していて、死なせてしまった妻に罪悪感を持ったためでは……という妄想が現実のものとなる!

バルカウィの犯行メッセージを受け取ったホワイトハウスに、マイクはなんとか連絡を取れた。今回の大規模テロはどうやって成功したのかと疑問を持つトランブルに、「一発勝負が当たったんだよ」と答えるマイク。いや、それ違うから! かなり用意周到に準備してると思いますけど!!!

テロリスト一味によって停電になり戒厳令が布かれたロンドンで、次々と敵を迎え撃つ究極の殺人兵器マイク! 敵の無線機でついにテロ首謀者の息子カムランとコンタクトするが、生き残りを拷問しながら相手に断末魔の声を聞かせるという相変わらずの鉄板ヤンキー魂。それ、どう考えても火に油を注いでますが!

 

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tags: アーロン・エッカート ジェラルド・バトラー ババク・ナジャフィ モーガン・フリーマン

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