柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『秘密 The Top Secret』 スーパー犯罪者vsチート捜査官のなんでもあり対決だとはいえ、こうも後出しでなんでもできちゃうと (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

秘密 The Top Secret

監督 大友啓史
原作 清水玲子
脚本 高橋泉、大友啓史、Lee Sork Jun、Kim Sun Mee
撮影 石坂拓郎
音楽 佐藤直紀
出演 生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、栗山千明、織田梨沙、リリー・フランキー、椎名桔平、大森南朋、木南晴夏

 

 

秘密 season 0 1 (花とゆめCOMICSスペシャル) face 近未来。死者の脳をスキャンして死者が見た視覚情報を「見る」技術が生まれた。その技術を犯罪捜査に応用すべく設立されたのが科学警察研究所法医第九研究室、略称「第九」である。新人のインテリ捜査官青木(岡田将生)は突然転属命令を受け、「第九」に向かう。そこにいるのは若く脆い天才美少年薪(生田斗真)であった……原作は清水玲子の同名コミック。というところでああそういうことね……といろいろ了解できるんだけど、このオーバーテクノロジーの塊みたいな脳スキャンMRIマシンは、まあ漫画だからしょうがない。そして「第九」を仕切っているトラウマまみれの天才美少年と、眼鏡エリート青年との衝突とやがて生まれる友情みたいなブロマンスのかおりは清水玲子だからね……というところでそこらへんには突っこまないことに。

俳優陣もやっぱり漫画で、とりわけ男を誘惑する美少女サイコパス殺人鬼なんかは紋切り型を絵に描いたような酷さ。「トラウマまみれの美少年」なら戯画化はされつつもそれなりに格好はつくのだが、殺人鬼になったとたん紋切り型とキャハハハサイコパスになってしまうというのは、なにやら日本映画の構造的問題なのではないかという気がしてきた。なお、この映画では殺人鬼は笑いませんがリリーはキャハハハと笑います。リリーも日本映画の構造的問題の一部のような気がしてきますね。

 

 

で、そういう中で監督が何を頑張ったかというとエログロ。本作はPG12らしいけど、開巻直後に全裸少女の死体が大写しになるし、美少女サイコパスの濡れ場も出し惜しみせずで、そこは大いに評価したい。いまどきこんだけ脱いでるメジャー映画も珍しいだろう。でも本質的な漫画っぽさをそのままにしてエログロだけ増すと、なんかますます心ない感じに……

 

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