柳下毅一郎の皆殺し映画通信

映画配給業界広しといえどもC調と無責任においてはこいつの右に出る者はいない 『絶体絶命を乗り切る超言い訳術』 (柳下毅一郎)

絶体絶命を乗り切る超言い訳術

『絶体絶命を乗り切る超言い訳術』
叶井俊太郎著 双葉社 1400

映画配給業界広しといえども、叶井俊太郎ほどデタラメな男はそうはいない。C調と無責任においてはこいつの右に出る者はいない。植木等がどうした。叶井俊太郎こそ真の無責任男である。

つまり、世の中に千人切りの男はいくらでもいるだろう。だが、十五股をかけてその相手が一同に集う誕生パーティを開かれたことのある男は叶井くらいだ(悪行三昧を見ていた友人たちがこっそり仕込んだのである)。しかもそこから逃げだすと(もちろん叶井は責任など取らずに逃げる)、ハワイに留学してそれまで以上に派手な女遊びを続ける。あまつさえその話を堂々と自分で本に書きさえする。

何ひとつ反省しておらず、何も学んでいない。それが叶井という男なのだ。

叶井のあまりにもひどいセックス話については『ダメになってもだいじょうぶ―600人とSEXして4回結婚して破産してわかること 』(叶井俊太郎、倉田真由美 幻冬舎)に記されている。これ、あまりにひどいんで、その話を聞いても誰一人本当のことと思わないのだが、すべて事実なので!なお、そんな男に印税を払うのはいかがかと思われた人は、拙著『新世紀読書大全』に過去の叶井本の書評があるので、そちらを参照されたい(以上宣伝)。

叶井は六百人とセックスしたのち、「究極のだめんず」として『だめんずウォーカー』の倉田真由美と結婚。その過程で数億の借金を作って会社を倒産させたけれど、もちろんそんなことは屁とも思ってない。そんなもの、口先だけで言いわけしておけばいいことである。ということで書かれたのがこの本『絶体絶命を乗り切る超言いわけ術』である。だが、無責任男の言いわけを聞いて、それになんの意味があるというのだろう。

こんな本、書く方も書く方だが、書かせる方も書かせる方だ。案の定、なんじゃこれ!と突っ込みたくなるエピソードが次々に登場する。

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