柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『劇場版 艦これ』  「艦娘」とはなんなのか? 戦いによって何を守っているのか?神なのか精霊なのか改造人間なのかなんなのか (柳下毅一郎)

公式サイトより

皆殺し映画通信LIVE 12/30(金)開催!

 

劇場版 艦これ

監督 草川啓造
脚本 花田十輝、田中謙介
出演 上坂すみれ、藤田咲、井口裕香、佐倉綾音、竹達彩奈、堀江由衣、川澄綾子

 

face わかんねーなこれ。

えー本作はdmm.comが提供する大ヒットブラウザゲーム「艦隊これくしょん」の映画化。そもそも旧日本海軍の軍艦が美少女化される「艦娘」自体がなんやねんという話なのだが、そのゲームの映画化である。より正確に言えばゲームがTVアニメ化されて、その劇場版ということになる。ストーリーはアニメの続き……なので、そっちについてはさっぱりわからないのだが、それはたいした問題じゃない。ストーリーなんかわからなくてもいいので、ぼくはもっと基本的なことを知りたかった。根本的な疑問に答えが与えられるのを期待していたのである。つまり、そもそも、

艦娘っていったいなんなの?

いや何かって、艦娘たちは「在りし日の艦艇の魂を持つ娘たち」だという。つまり人間であって、旧日本海軍の魂を持っているわけだ。てっきり巨大女かと思ったら人間サイズ。航空母艦は矢を射ると、それが式神になって零戦に変身する(蚊とんぼくらいのサイズの戦闘機なのか?)。戦艦や巡洋艦は背中に砲を背負っており、砲弾を発射して敵を撃滅する。そういう艦娘たちがソロモン諸島沖で戦っている。相手は「深海棲艦」というエイリアンで、どう考えてもそこはエンタープライズやホーネットであるべきなんだけど、まあそういうことをするといろいろ問題になるんで、相手は謎のエイリアン娘ということになっている。で、このエイリアンが何者かって話なんだけど。

 

 

 

 

撃沈された艦娘、その無念が凝り固まって怨念となって甦る。それが「深海棲艦」なのである。彼女たちはときに「艦娘」の姿を取り戻して帰ってくる。いつどうなったら艦娘になれるのかは劇中ではまったく説明されないので、どうやらランダムらしい。艦娘の中にはその記憶を保っている者もいる(映画の中だと「加賀」がそうであるらしい)。永劫に続く戦いの中で、艦娘は死んでは甦り、甦ってはまた死に、深海棲艦になって苦しみ、救われて艦娘に戻る。いわばヴァルハラのような永遠の戦場、それが艦これの世界だということだ。

 

 

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皆殺し映画通信LIVE 12/30(金)開催!

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tags: アニメ 上坂すみれ 井口裕香 佐倉綾音 劇場版 堀江由衣 川澄綾子 田中謙介 竹達彩奈 花田十輝 草川啓造 藤田咲

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