柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『暗黒女子』 清水富美加がレプロから離脱するまでの苦難の過程案件。そりゃこんな映画ばかり出させられたら芸能界やめたくもなるわな……(柳下毅一郎)

公式サイトより

 

暗黒女子

監督 耶雲哉治
原作 秋吉理香子
脚本 岡田麿里
撮影 中山光一
音楽 山下宏明
主題歌 Charisma.com
出演 清水富美加、飯豊まりえ、清野菜名、玉城ティナ、小島梨里杏、平祐奈、升毅、千葉雄大

face お嬢様学校として知られる聖母マリア女子学院、その中でも指折りのお嬢様が集まっているのが文学サークル。その会長にして学園理事長の娘、学業優秀な完璧すぎる美少女として学園に君臨していた白石いつみ(飯豊まりえ)が屋上から飛び降りる。だが、学園には「文学サークルの中の誰かがいつみを殺した」という噂が流れていた。そこで新しく会長になった元副会長の澄川小百合(清水富美加)主催で文学サークル恒例の闇鍋会がもよおされる。なんで闇鍋なんだと言われてもそういう決まりなんだからしょうがない。闇鍋では会員四人がそれぞれ「会長の死」について書いた作文を読みあげるという趣向。そこで四人それぞれが事件の「真相」を推理して、会長いつみのさまざまな顔があかるみに出る……という趣向なんだがね。あのね、この話で、「この中の誰かが彼女を殺した」というのが本当なら、犯人は清水富美加以外ありえないだろ! 清水富美加がレプロから離脱するまでの苦難の過程案件なのだが、そりゃこんな映画ばかり出させられたら事務所にうんざりもするよ! 清水富美加が真相を明かすまで、四人の「暗黒女子」がそれぞれの立場で見た「真実」を語り、それぞれに犯人を名指ししてみせるわけだが、実はそれにはなんの意味もないただの時間のムダ(もちろん普通の映画ならそこで演技合戦とかが見せ場になるわけだけど、このストーリー、このキャストでどんな演技が期待できるだろうか?)。そんなわけで、ひたすら早く結論を言え~とイライラするばかりのトーク。一人目は一年生の二谷美礼(平祐奈)。題して「太陽のような人」

 

 

「……そう、白石いつみはこの学院を照らす太陽のようだった」と語る美礼。美礼は本来お嬢様学校には入れない貧困家庭の出身だったが、学業優秀だったので学年で一人だけの特待生として授業料その他優待されていたのである。そうはいっても階級が違うので疎外感を感じられるばかりの日々、そんな彼女にもわけへだてなく声をかけてくれたのが白石会長なのだった。彼女は自分が主催する文学サークルに読書家の美礼を誘ってくれる。メンバーは女子高生作家として有名な高岡志夜(清野菜名)、いつもキッチンでスイーツを作っている小南あかね(小島梨里杏)、ブルガリアからの留学生ディアナ(玉城ティナ)、それに副会長で「白石いつみが太陽なら月」と言われている澄川小百合(清水富美加)であった。美礼にとっては夢のような日々のはじまり。彼女が生活費の足しにと校則違反のアルバイトをしていることを知ったいつみは、自宅で弟の家庭教師の仕事を斡旋してくれる。さらにいつみと親しくなると同時に、彼女の悩みも知るようになる。それは女子高生作家として有名になった志夜が、渉外交渉その他いっさいをまかせている学園理事長である父親と仲がよすぎること。父と不倫しているのではないか、と心労でどんどんやつれていくいつみ。ついに学園祭の日、決定的な出来事が起こる……屋上から花壇に飛び降りたいつみは手にスズランの端を握っていた。それは志夜が理事長からもらっていたゲランの日本未発売の香水を意味し、ひそかに志夜を指し示すダイイング・メッセージなのだ!

 

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