『たたら侍』 浅はかな思いつきのせいではじまった戦いで関係者が全員死亡して「たたかいは、むなしい………」 …それがEXILEの作家性という奴だ! (柳下毅一郎)
→公式サイトより
『たたら侍』
監督・原作・脚本 錦織良成
エグゼクティブプロデューサー EXILE HIRO
撮影 佐光朗
音楽 長岡成貢
出演 青柳翔、AKIRA、小林直己、田畑智子、石井杏奈、高橋長英、甲本雅裕、宮崎美子、でんでん、橋爪遼、菅田俊、早乙女太一、中村嘉葎雄、佐野史郎、豊原功補、奈良岡朋子、山本圭
まず最初に思ったことは、EXILE TRIBEって金あるな~ということである。まあこんな映画をよくこんだけ金かけて作れるものである。立派なオープンセットで村をひとつまるごと山の上に作っているし、ほんのワンシーンのために木造の北国船まで出てくるんだから驚いた。撮影もかなり時間かけてるようで、冬の雪景色まで撮っている。スタッフ・キャストも無駄に有名人を並べ、佐野史郎や中村嘉葎雄がカメオみたいに顔出しするし、主題歌の作曲は久石譲だ。そもそも本作は島根のローカル鉄道話の『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』、隠岐相撲をテーマにした『渾身 KON-SHIN』と島根発映画に命をかける町おこし映画監督錦織良成が『渾身』でも組んだ劇団exileの青柳翔を主人公にして作った島根発町おこし時代劇。島根と言えばたたら衆(『もののけ姫』のアレ)だというわけで、戦国時代の鉄作り村をテーマにした企画だったはずだが、これにexile tribeが丸乗りしたらこんな一大スペクタクル史劇になってモントリオール映画祭で芸術貢献賞だかなんだか取ってしまったわけである。いや、よくもまあこんな話に……
というわけで次に思ったのが、話が『HiGH & LOW the Movie』 とまったく一緒だということである。なのであの映画好きな人はみんな見に行ってあげるといいと思う! ていうかEXILEさんって本当にこういう話好きなんだなあ。これはもはや作家性というべきだろう。
さて、物語は「子供の頃から力は強さだと思っていた……だが本当の強さとは何かをわしは知らなかった……」とざっくりしたナレーションからはじまる。主人公の伍介(青柳翔)はたたら衆の棟梁、鉄づくりの総責任者「村下(むらげ)」の跡取り息子である。だが、かつて村が野盗に襲われ、母親が殺されたことがトラウマになっている伍介は、「強くなりたい。鉄づくりなんかじゃなくて侍になりたい」と思っていたのだった。そのときに彼を救ってくれた尼子真之介(AKIRA)のことを今も慕っている伍介、幼馴染の新平(小林直己)らとともに、村長の跡継ぎ平二郎(豊原功補)から剣術の手ほどきを受けたりしている。「村下」が代替わりし、父弥介(甲本雅裕)が「村下」の地位についても伍介の不満はふくらむばかり。そこにあらわれたのが問屋の惣兵衛(笹野高史)である。
「今は、百姓でも侍になれる時代でございます」
その気になった伍介「織田(信長)軍に紹介いたします」という商人与平(津川雅彦)に紹介されて、敦賀の国へ向かうことになる。日本海沿岸に出ると、そこには北国船が待っている! 実物大の木造船、まさかこれも作ったのか!? と錯乱したが、実は青森県野辺地町が復元した北前船「みちのく丸」であるらしい。堂々と帆を張っての勇姿、これがEXILE TRIBEの実力だ! 案内の代金として伍介が差し出した粗鉄も受け取らず、刀鍛冶(中村嘉葎雄)に刀を打たせる与平。伍介に刀を持たせて
「その刀で何を切るおつもりですか?」
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