柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『アヤメくんのほのぼの肉食日誌』 anan読者も大好きな「ロールキャベツ恋愛」。もうそれ聞いただけで…。 あと足立梨花はもうちょっと汚れ仕事を減らそう… (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

アヤメくんのほのぼの肉食日誌

監督 芝崎弘記
脚本 阿相クミコ
出演 黒羽麻璃央、足立梨花、瑛茉ジャスミン、佐伯大地、GENKING、鶴見辰吾

 

ほのぼのなのか肉食なのかどっちだよ!と思ったら「外見は草食だけど中身は肉食な“ロールキャベツ系男子”」だそうで、もうそれ聞いただけで勝手にやってくれよ……と言いたくなったわけですが、原作はFeel Young連載、「第6回ananマンガ大賞」準大賞を受賞した恋愛コミックだそうである。anan読者も大好きなロールキャベツ恋愛。舞台は千葉、某大学の生物学研究室に所属する骨マニアの女子大生椿雛菊(足立梨花)と、その後輩のロールキャベツイケメン菖蒲瞬(黒羽麻璃央)の恋愛模様を描くということで、変人同士の一筋縄ではいかないオフビートな恋愛模様……にしたかったのかもしれませんが、全然そんな風にはなってません! ただのぬるいラブコメです! 主演は「「黒子のバスケ」「刀剣乱舞」などの2.5次元舞台に数多く出演する」黒羽麻璃央。出るところに出れば人気もある人らしいがまったく知らない今風のイケメン(しかし「2.5次元舞台」とはなんだろうか?)。ヒロインには皆殺し映画通信ではすっかりおなじみ足立梨花。あまりにしょうもない映画ばかり出ているので、映画を見るたびに「もうちょっと仕事考えてあげればいいのに……」と同情心ばかりが湧いてくるようになってしまった。誰に聞いても「性格がいい」と聞くので、たぶん本当にいい娘なんだろう。なのでついどうしようもない仕事も引き受けてしまうのかなあ……などと妄想してしまうのである。

 

さて、骨格に特別のこだわりを持つ骨マニア女子椿は千葉国立大学生物学部の学生であった。そこに父親が有名考古学者でイギリスで育ったという帰国子女菖蒲が入ってくる。歓迎会の飲み会で、すっかり酔っぱらってしまった椿、菖蒲が自宅へと連れ帰ることになる。もう何回見たかわからない説得力皆無の展開だが、ここからが一味違って、椿はなんと起きるとそのまま菖蒲の家でシャワーを浴び、菖蒲から声をかけられたらそのままでシャワーから出て平然と全裸をさらし、菖蒲にタオルをかけられる始末。で、椿のヌードを見た菖蒲

「今度……」
「え?」
「……おっぱい触らせてもらってもいいですか?」

いやそれ肉食とか草食とかそういうレベルの話じゃなくね? でもってこの椿のほうも骨女子なんで自分の性的魅力に無関心とかそういう設定なのかとも思ったんだが、ファッションは普通の今風の女子大生で、いつもミニスカかホットパンツで美脚を見せつつ、ゆるめの長袖ニットみたいな格好で研究室で化石の掃除などしている。一応白衣を羽織ってみたりはするんだけど、そんな研究室女子はいねーよ!

 

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tags: GENKING 佐伯大地 瑛茉ジャスミン 芝崎弘記 足立梨花 阿相クミコ 鶴見辰吾 黒羽麻璃央

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