『となりの怪物くん』菅田将暉と土屋太鳳という日本映画の次代を担うはずの才能が「青空映画」で壮大なる無駄遣い (柳下毅一郎) | 柳下毅一郎の皆殺し映画通信

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『となりの怪物くん』菅田将暉と土屋太鳳という日本映画の次代を担うはずの才能が「青空映画」で壮大なる無駄遣い (柳下毅一郎)

 

公式サイトより

となりの怪物くん

監督 月川翔
原作 ろびこ
脚本 金子ありさ
撮影 鍋島淳裕
音楽 林ゆうき
主題歌 西野カナ
出演 菅田将暉、土屋太鳳、古川雄輝、山田裕貴、池田エライザ、浜辺美波、佐野岳、佐野史郎、速水もこみち、田口トモロヲ、志賀廣太郎

 

 原作ろびこの講談社刊同名人気コミック、高校生の恋愛映画を彩る主題歌&挿入歌は西野カナということで絵に描いたような青空案件だが、主演は菅田将暉と土屋太鳳という男女この世代のトップランナー、青空以外の映画ではたいへんな潜在能力をみせている二人だけに、たとえ青空映画であってもあるいは……とも思ったがやはり才能の壮大なる蕩尽を見せつけられただけだった。この話、後半あからさまに破綻してしまっており、後付の設定に失敗した感がぷんぷんする。たぶん原作も後半失速したものと思われるのだが、監督月川翔(『君の膵臓をたべたい』)はほぼ何も考えずにそのまま映像化してしまった。これ、前半だけの映画化にしとけばまだしもだったんじゃないですかねえ。

 

 

「あのころ、わたしは勉強しか頭になかった……」

 と昔を回想する水谷雫(土屋太鳳)。少女漫画映画によくあるなんとなく回想のナレーション。高校に入学したシズクは勉強一筋、勉強は自分を裏切らない……とひたすら毎日参考書をひっくりかえし、友人も一人もいないが気にもしないガリ勉少女である。そんなある日、担任教師から、入学してから一度も学校に来ていない隣の席の吉田ハル(菅田将暉)のところに入学以来のプリント一式を持っていくよう頼まれる。なんでも入学式当日に大げんかをして、以来一日も登校していないのだという。もちろんそんな余計な仕事はお断りだったが、無理やり押し付けられて仕方なく彼の家に行く。教えられた住所はなんとバッティングセンターで、ハルの従兄弟だというおっさん三沢(速水もこみち)がいる。もこみちに書類を押し付けて帰ろうとしたタイミングでハル登場すると、そこにハルがあらわれる。

「プリント? これって学校休むと友達が届けてくれる奴? じゃあぼくら友達だよね!」

 と一方的になついてくるハル。シズクは(勉強の邪魔になるので)嫌がっていたが、無理やり放課後の買い食いにつきあわされる。それでもまだ登校してこないハルに、再度プリントを届けるシズク。そこでたまたま会ったのが、ハルにたかって金をせびっている連中である。「友達のふりすれば金くれるんだからいい金づるだよな~」とうそぶく連中にカッっときたシズク、そんなことやめろと説教する。これを後ろで聞いていて感激したハル。

「なんかシズクのこと好きになってきた!」
「そ、それは……友達としてって意味だよね?」
「ううん。性的な意味で!」

 ここまで映画はじまってから10分足らず。話がはえーなー。そういうわけで破天荒な問題児ハルにふりまわされるうちにガリ勉優等生シズクのまわりにだんだん人が集まってくる。「わたし、可愛いから男に迫られて大変(なので友達がいない)」とてらいもなく言い出すあさ子(池田エライザ)や、眼鏡をかけているという理由だけで委員長にされた大島(浜辺美波)などなど。そういう友達のいなかった人たちがハルの行動力のおかげでだんだん仲良くなって理想の高校生活を送るようになるという……あ!これ『僕は友達が少ない』とかと同じ奴だ

 

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