柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『銀魂2 掟は破るためにこそある』 現代日本映画界最大の悪! 倒しても倒しても次々にあらわれる福田雄一映画。オレが死ぬか、福田が映画を作らなくなるか、どっちが根負けするかの勝負だ (柳下毅一郎)

銀魂2 掟は破るためにこそある

監督・脚本 福田雄一
原作 空知英秋
撮影 鈴木靖之
音楽 瀬川英史
出演 小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、三浦春馬、窪田正孝、吉沢亮、ムロツヨシ、長澤まさみ、岡田将生、佐藤二朗、勝地涼、夏菜、キムラ緑子、堤真一、中村勘九郎、堂本剛

 

 

face あの『銀魂』の続編である。どこに出しても恥ずかしくない立派なクソ映画だった前作だが世間的には大ヒットし、見事続編が作られる羽目になった。もぐら叩きをやっているかのように、いくら倒しても倒しても次々にあらわれる福田雄一映画。もうオレが死ぬか、福田が映画を作らなくなるか、どっちが根負けするかの勝負だ……現代日本映画界最大の悪と思い定めたからには最後まで見続けなければならない、というわけで『銀魂2』見に行ったわけである。ところがこれがまったくもって酷い。1だって酷かったがそれにさらに輪をかけて酷い。あらすじを語る気力すらなくなるくらい酷い。もはやストーリーなどはなく、ただあるのはクソおもしろくもない、ギャグとさえいえない楽屋落ち、おもしろくもなんともないことを延々とくりかえしてこちらが根負けするまでくりかえすギャグ(くりかえしギャグというのはおもしろいギャグだからくりかえしているはずなので、くりかえしているということはおもしろいはずなのだ……という本末転倒した思考に基づく)だけが延々と続く拷問のような二時間十四分である。

 

 

そういうわけで、粗筋らしい粗筋はもはやない。冒頭、ワーナーのカンパニー・ロゴが三度もくりかえされ、小栗旬が日本アカデミー賞をもらえない云々という自虐が入り、まあそこらへんで早くもうんざりしてくるわけだが(だって本当の意味で危険なことを言うわけじゃないからね。ピー音が入って消されるのはしょせんはテレビのバラエティレベルの演出でしかない)、その後家賃を払えない銀時(小栗旬)一味が妙(長澤まさみ)の働いているキャバクラでバイトすることになると、そこに松平片栗虎(堤真一)に連れられた上様(勝地涼)があらわれ、そこに護衛として真選組一行があらわれ、以下おもしろくもないギャグをすべて新八(菅田将暉)が心中の声として突っ込むことで解説するという……

さてところで本筋はそっちではない。真選組では近藤(中村勘九郎)に引き立てられた伊東鴨太郎(三浦春馬)が土方(柳楽優弥)を押しのけてナンバー2を狙う勢いだった。そんなとき、土方は謎のチップを頚椎に埋め込まれ、ヘタレのアニオタになってしまう。そういうわけで以後土方のセリフとしていろんなアニメのパロディとかが出てくるわけだが、まーそーゆーのがおもしろいと思う人は見ればいいんじゃないかなー(棒読み)。まあ今はこういうのにめくじらたてるのはダサいってことになってるんだろうが、正直言ってこんなところにパロディの許可を出すほうがダサいというか、クライマックスでネコバス的なものが登場して「これはさすがにまずいんじゃないんですか」と新八が突っ込むんだが、こんなものに使うな!とジブリはきっぱり言い渡すべきなのである。芸能の論理にしたがって笑って許すほうがみっともない。そのくらい宮崎駿はわかっているはずなのだが。

さて、それで物語は誰もが予想するように、すべては真選組乗っ取りを狙う伊東の陰謀で、高杉晋助(堂本剛)と組んだ伊東は近藤の暗殺を狙い、高杉は千人斬りの河上万斉(窪田正孝)による将軍暗殺を試みるが、最後には土方が最後に残った正気で「真選組を救ってくれ」と銀時に頼み、銀時と桂(岡田将生)の活躍で幕府は救われるんだが、そもそもこの桂とか銀時とかはどういう思想的立場なんだっけ? そんなことはもう誰も、もう本当に誰一人気にしてはいないのだった。

だが最悪なのはこのどうしようもないギャグでも稚拙なストーリーでも棒立ちCGアクションですらなく、とやかくあって復活した土方に切られた伊東のいじめられっ子だった過去がフラッシュバックして、伊東が「ああ自分が本当に欲しかったのは仲のいい友達だったんだ」とか思いつき「なんだ、自分の居場所はここにあったんじゃないか」って頭がチルチルミチルになって、最後に真選組のみんなと心と心が糸でつながれるという……死ぬためだけに出てきた単発悪役のために感動のフィナーレとかいったいどういう考えでやってるのかこればかりは本当にわからぬ。これ見て「三浦春馬くんかわいそう……彼だってボタンをかけちがえなければヒーローとしてエヴァンゲリオンのパロディとかできたかもしれなかったのに……」って女子高生が思うんだと考えてるなら、それはいくらなんでも観客を馬鹿にしすぎじゃないか福田雄一さんよ。というわけでストーリーの落ちまですべて説明して言いたいこともすべて書いたので、ここまで読んでくれたらそれで終わり!

 

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