柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『高崎グラフィティ。』 第一回未完成映画予告編大賞グランプリ作品。いろんな思惑が見え隠れする禍々しいコンテストに当選した若者にはなんの罪もないとはいえ…… (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

高崎グラフィティ。

製作 長坂信人
監督 川島直人
脚本 小山正太
撮影 武井俊幸
音楽 長尾洋輔
出演 佐藤玲、萩原利久、岡野真也、中島広稀、三河悠冴、佐藤優津季、冨手麻妙、川瀬陽太、奥野瑛太、渋川清彦

 

face 第一回未完成映画予告編大賞グランプリ作品。この「未完成映画予告編大賞」がなんなのかというと、「ある地域(任意のエリア)を舞台にした「3分以内の予告編映像」での審査!」ということで、特定の地方を舞台にした映画の企画を予告編というかたちで募集し、その中で最優秀=いちばん映画化できそうな企画を選びだすコンテスト。審査員は堤幸彦大根仁平川雄一朗といういずれも当サイトではおなじみの日本が誇る××監督ばかり。なぜかといえばこの人たちみんなそろってコンテストの主催者であるオフィス・クレッシェンドの所属監督だからである。オフィス・クレッシェンドといえば秋元康のセルアウト、いやソールドアウトで帝王学を学んだTVプロデューサーの長坂信人が率いるドラマ制作会社である。まあいろんな意味で日本の映画・テレビ業界を悪くしている諸悪の根源が集まって企画をコンペで募集、うまくすれば地方映画として作ってしまおうといういろんな思惑が見え隠れする大いに禍々しいコンテストなわけで、当選した群馬県高崎市の若者にはなんの罪もないとはいえ……

 

 

高崎市内の某高校三年五組。今日は晴れの卒業式である。先生の求めに応じて、生徒一人ひとりが将来の抱負を述べる儀式。「すぐに彼氏と結婚します!」「東大行って、公務員にでも……」「大学行って、テニサーで女の子と出会って合コンまた合コン!」と口々に希望を述べる中、一人窓の外を見つめて我関せずな美紀(佐藤玲)は「東京の服飾学校に行きます」と言いはなつ。卒業式後、クラスで卒業パーティが企画されており、美紀は寛子(岡野真也)らと一緒に行く。だがその前に家に帰ると挙動不審な父親(渋川清彦)がいた。コソコソしている父親が消えると、行くはずだった学校から「入学金がふりこまれてません」と電話がかかってくる。今週中に払い込まないと入学取り消しになってしまうという。あわてて父親に電話するが、携帯は留守番電話になってしまって一向に返事がない。鬱々としながら卒業パーティに行くと、クラスの女王様的存在である礼奈(佐藤優津季)と香澄(富出麻妙)にそのことを言いふらされてしまう。パーティではさらに波乱がある。主催者であるお調子者直樹(中島広稀)は礼奈に告白する! と勝手に盛り上がっていたが、実は自分の友人と付き合っていることが判明したのだ。香澄はパーティに来ないという優斗(萩原利久)が好きなので、幼馴染である美紀に頼んで呼び出してもらう。だが、美紀を見下して笑いものにしようとした香澄の態度のせいもあり、とうとう大喧嘩が発生。優斗、美紀、直樹、寛子、康太(三河悠冴)の五人はパーティを抜け出して夜の街に走りだすのだった……

というわけでクラスメートではあるがお互いのことは何も知らない同士の五人の男女の一夜限りの冒険がはじまる……ということであれですよ、ジョン・ヒューズです! クラス・カーストの違う高校生たちがひょんなことから友人同士になるというジョン・ヒューズ的学園映画。この場合は完全に『ブレックファスト・クラブ』ですね。まあぼくもこの手のは嫌いなほうじゃないんだけど……

 

 

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