柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『3D彼女 リアルガール』 まごうことなき青空映画、いまどきの少女漫画の特徴というか欠点がそのまま映画に結実 (柳下毅一郎)

 

公式サイトより

3D彼女 リアルガール

監督 英勉
原作 那波マオ
脚本 高野水登、英勉
撮影 小松高志
音楽 横山克
主題歌 西野カナ
出演 中条あやみ、佐野勇斗、清水尋也、恒松祐里、上白石萌歌、ゆうたろう、三浦貴大、神田沙也加、濱田マリ、竹内力

 

face 那波マオ原作の同名コミックの映画化で、学校一の美少女・五十嵐色葉がある日いきなり2次元をこよなく愛する超オタク・つっつんこと筒井光に告白するところからはじまるラブコメディ……というわけでまごうことなき青空映画、いまどきの少女漫画の特徴というか欠点がそのまま映画に結実してしまっている。つまり物語の弱さ、というか迷走っぷりである。「学園の女王様がオタクに告白する」という出落ちでほぼ終わっており、そのあとの展開が何も考えられていないのだが、監督は『貞子3D』などでおなじみ雑な映画ならおまかせの英勉ということで、ますますそこらへんには期待できず……

 

 

さて、天下無敵のアニメオタクである筒井光(佐野勇斗)、学校では同じくアニオタでなぜか猫耳をつけている伊東悠人(ゆうたろう)くらいしか話し相手がいないぼっちライフをおくっている。ところがある日その身が急変、学園一の美少女で憧れの的、スクールカースト的にも最上位の五十嵐色葉(中条あゆみ)がいきなり「つきあってください」と告白してきたのである。「イジメか何かか!?」と動揺するつっつん=筒井だが、実はその三日前、色葉が本屋で万引きと間違えられそうになった(しかしそもそも万引き容疑って、あくまでもレジを通過して払わなかったときに声をかけるはずで、レジが一箇所しかないジュンク堂店内で声かけられないだろ、とどうでもいいひとりツッコミ)のを、たまたま居合わせて粘着質に彼女の行動をチェックしていたつっつんが「万引きじゃないです!」と証言して助けてくれたからだというのだが、そう説明されても全然納得行かないよね! まあそんな感じで強引に卑屈でコミュ障なオタクが気になったということで「つきあって!」と告白。よくわからないままつきあうことになると、「じゃあ、半年間よろしくね!」

以下「送り迎え」とか「一緒にランチ」とか色葉から与えられるミッションを必死の思いでクリアしていくつっつん。つっつん本人は一人パニクってるのだが、別になんのトラブルもなくいい思いをしているだけ。唯一のピンチらしいピンチは「おまえみたいなオタク野郎は色葉にふさわしくない」と俺様イケメンミツヤ(清水尋也)にからまれるくらいだが、これも色葉がミツヤをワンパンKOしておしまい。最初から最後まで美人で強くてかしこくて性格もいい色葉が全部処理してくれ、アニメ趣味も全然許容してくれるうえに「つっつんは優しい」とか言って勝手に惚れこんでくれるんだからまあ自堕落にもほどがある。

なお、つっつんには二次元の恋人「魔法少女えぞみち」(cv神田沙也加)がおり、アニメ世界から飛び出してやたらとツッコミを入れてくるのだが……いやぼくは残念ながらそっちの世界にはうといので、ひょっとして萌えキャラ好きならこれでもおもしろいと思うのかもしれない、その蓋然性があることは否定しないけれど、まあ常識的に考えてcv:神田沙也加の萌えキャラが出てきて喜ぶアニオタはほとんどいなかろう。アニメファンでも何でもない人が「こんなもんでよかんべイズム」を発揮した結果と思われる。

 

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