柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『アニメ女子外伝~藍の翼 カーレッジ~』 これが「外伝」ならば「アニメ女子本編」はどこに? なんでこんな映画作られたのか、芸能界って本当にわからない……

 

アニメ女子外伝~藍の翼 カーレッジ~

監督 菅学
脚本 村上恒一、いさみたかお
エグゼクティブプロデューサー 村上恒一
撮影 戚世
主題歌 佐藤実絵子
出演 藤江れいな、前田亜美、高城亜樹、西永彩奈

 

face まあいろいろとこれまでも訳のわからない映画を見てきたのだが、ここまで意味不明な映画もはじめてかもしれない。いや、ぼくはアニメの事情にはまったく疎いのでひどく頓珍漢なことを言ってるのかもしれないので、その場合はどうかご指摘いただきたい。これは『アニメ女子外伝~藍の翼 カーレッジ~』というタイトルで、アニメに夢をかける三人のうら若き乙女たちの苦闘を描くオムニバス・ストーリーである。三人はやがて(当然ながら)『藍の翼 カーレッジ』というアニメを製作することになり、その制作発表で映画は終わる。それで、これが「アニメ女子外伝」ならば当然「アニメ女子本編」があるのだろうと思ったがそれがどこを探しても見つからない。じゃあせめて「藍の翼 カーレッジ」というアニメがあるのかと思ったがそれもないらしい。じゃあこのタイトルはどういう意味なのか。そしてその三人に元AKB48の女の子を配するキャスティングはどういう意図なのか(別にAKBのファンがアニメ好きというわけではあるまい)どうやら脚本にも手を染めているエグゼクティブプロデュサーの村上恒一氏がどうやらこの中心人物らしいのだが、まあなにひとつわからないままなのだった。

 

 

というわけで登場する“アニメ女子”は三人。最初に出てくるのは脚本家をめざす琴葉(藤江れいな)。アニメに夢をかけて上京していた琴葉だが、両親に呼び戻されて祖母の介護をしている。この両親が本当にひどくって、共働きをするために祖母の介護要員が必要、と娘を奴隷労働に使って恥じることがない。こいつらが夫婦でどんだけ稼いでるのか知らないが、ちゃんと稼ぎがあるなら介護要員雇えばいいし、その金がないなら仕事やめて自分でやれ! 娘に

「呼び戻されて三年間、時間と若さをどんどん吸い取られてる。あと五年たったら三十路だよ。夢どころか結婚だってできなくなっちゃう……」

 なんて言わせちゃいけないだろ。これはさすがに両親が身勝手すぎて、そんなに面倒見たくないなら介護施設に入れろや! としか思えなかった。ついに絶望した琴葉、「世話になった人」から仕事の依頼が来たのをきっかけに、介護奴隷をやめて再度東京に出る、と宣言する。

 

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tags: AKB48 いさみたかお 佐藤実絵子 前田亜美 戚世 村上恒一 菅学 藤江れいな 西永彩奈 高城亜樹

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