柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『マスカレード・ホテル』キムタクと長澤まちゃみのラブコメ展開は(どうでも)いいとして、問題は肝心の殺人事件・・・

公式サイトより

マスカレード・ホテル

監督 鈴木雅之
原作 東野圭吾
脚本 岡田道尚
撮影 江原祥二
音楽 佐藤直紀
出演 木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、石川恋、濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、生瀬勝久、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、松たか子、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎

 

face 木村拓哉+長澤まさみ+東野圭吾の底抜けミステリー。正直、キムタクも長澤まさみも演技力を見せられるような役ではないので、二人についてはしょうがないところもあるが(とはいえ、さすがに「有能だが直情で熱血、上司とぶつかってばかりいるがどこか憎めない魅力があって助けてやりたくなる」「英語がペラペラの帰国子女」というキムタクの役はどうかと思いました。ほとんど織田裕二化してるよね)、さすがにこの原作の底抜けっぷりには腰を抜かした。どういう話か手短に説明する。東京で発生した犯行予告連続殺人の次回の殺人予告現場がホテルコルテシア東京と判明したので、警察が大挙してホテルに潜入捜査することになる。で、英語ができるからとフロント係に偽装することになったキムタクと、その教育係になった長澤まちゃみとがぶつかりあってるうちにお互いを認めあう……というラブコメ展開。まあそこらへんは(どうでも)いいとして、問題は肝心の殺人事件である。

 

事件は最初、品川で起こった。死体にメモが残されており、そこには「45.*****,139.****」という謎の数字が記されている。次の事件は千住新橋、続いて葛西で事件が起こる。そこまで来たところでようやくこの数字の暗号の意味が判明した(もちろんキムタクが解いたのだ)。数字から事件の起きた日付(10/4)を引くと、次の事件が起きる場所を示す緯度経度になるのだ。そのなんの必然性もない暗号解読が事実であれば、葛西の事件が指ししめす次の犯行現場はここホテルコルテシアだということになる。だがここまで犠牲者も犯行手口もすべてバラバラで共通点がないので、犯人にも狙われている相手にもまったくなんの手がかりもない。事件がいつ起こるかもわからない。なので新しい客が来るたびに、潜入している刑事たちは、外見だけ見て「こいつは怪しい」とかいって騒いでいるのである。まあこの時点でそもそもどうかという話なのだが、さらに驚くのはこの事件の真相だ。

 

(以下誰も気にしないだろうと思うがネタバレ)

 

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