柳下毅一郎の皆殺し映画通信

ラジー賞全部門ノミネート記念!マラソン企画『トワイライト・サーガ』祭り-全部のせ-[後編]

『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンpart1』
監督 ビル・コンドン
脚本 メリッサ・ローゼンバーグ
撮影 ギジェルモ・ナヴァロ
音楽 カーター・バーウェル
出演 クリステン・スチュアート、ロバート・パティンスン、テイラー・ロートナー、ダコタ・ファニング

([前篇]からつづく) 『トワイライト』マラソンもついに最終章!これで終わり!と思ったら最終話『ブレイキング・ドーン』は前後編の二部作になっていた。ヒット作の終わりを引き伸ばすという『ハリポタ』方式。監督はどっちもビル・コンドンなので二本撮りででっちあげたものと思われる。というか、二本撮りじゃなかったらびっくりだよ!というくらい中身が薄いんだこれ

ついにベラとエドワードの結婚式の日がやってきた。森の中でロマンチックな結婚式、はいいのだが、そもそも吸血鬼は誰に対して誓うんだろう……と思っていたが普通に牧師みたいな人の前で誓いの言葉を述べてました。延々「吸血鬼なんか魂のない死者だから……」と言ってたわりにはエドワード、こだわりがない。式には例によって八方美人のベラが人狼ジェイコブも招いていい顔をしようとするのだが、当然のごとくジェイコブ激怒の一幕となって終わり。二人は新婚旅行でブラジルへ向かう。驚くなかれここまでで30分。このあと新婚旅行編が30分続くので、映画の半分はいちゃいちゃしてる二人を写してるだけ。これがファンの望んでるものなのか……といろいろ絶望的な気分になりますな。

ブラジルまで出かけた二人は、父親が所有する無人島の入り江にあるコテージで水入らずのハネムーン。いよいよ……肉食系のベラはこの日を待っていた。ちょっと待って……とバスルームにこもるとまず歯を磨き、むだ毛の処理を……ってやる気満々じゃねーかよ。シャワーを浴びると生まれたままの姿で入り江に向かう。そこにはもちろん裸のエドワードが待っていた。激しい口づけからそのまま……翌朝、ベッドもふとんもすべては瓦礫と化していたのだった。

夢のような時間が過ぎた。二週間目、軽い吐き気を覚えたベラは生理が来てないことに気づく……っていったい何日遅れたというのか。そんな突っ込みをする間もなく、ベラのお腹はみるみる大きくなっていくのだった。

エドワードも父カーライルも「中絶しろ」というのだが、ベラが拒むうちにたちまちのうちに臨月に。お腹にエイリアンを宿したベラはどんどん衰弱していく。ひょっとして……赤ん坊が血を欲しているのでは? ベラはマクドナルドのペーパーカップに輸血用血液を移し、ストローでちゅーちゅー吸ってみる。ベラ(人間)がすすった血がどういうシステムで胎児に届くのかはまったく不明なのだが、そんなことは誰も気にしていません。赤ん坊が元気になるともう生まれる!時間がないので医師であるカーライルが麻酔も使わずに帝王切開。だが切ると血が吹きだして血の臭いを嗅いだ吸血鬼たちが狂乱……本当に難儀な人たちである。ともかく子供は無事誕生。

血まみれの赤ん坊を見たジェイコブは雷に打たれる。実は人狼には「刻印」と呼ばれる現象があり、一目見ただけで一生添い遂げる魂の伴侶が決まるのである。「刻印」と訳されてるけど、imprintだから「刷り込み」、つまりヒヨコが生まれてはじめて見たものを親だと思いこんでしまうというアレですね。ともかくエドワードとベラの娘レネズミこそジェイコブの「刻印の相手」だったのだ。こいつロリコンだったのか!悪しき存在である赤ん坊を殺すつもりで集まってきた人狼の一族だが、

「刻印の相手を殺してはならない。それが人狼の掟だ」

いきなり決まった掟のおかげですごすご帰っていく

一方、出産のショックでベラの心臓は止まってしまうが、エドワードが吸血鬼血清を打ちこむと甦る。吸血鬼に変身して真っ赤な目をしたベラが立ちあがる!わしの娘にちょっかいだす奴は誰だー!

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tags: アメリカ キャサリン・ハードウィック クリステン・スチュアート ダコタ・ファニング テイラー・ロートナー ビル・コンドン ロバート・パティンスン 洋画

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